インタビュー・翻訳: 矢澤 竜太
ゲーム開発者になったきっかけを教えてください。
Brian
子供の頃からゲームとアニメがとにかく好きで、大きくなったらアニメ業界に入ろうと思っていました。でも大ファンのアニメ監督である新海 誠氏が大学卒業後にゲーム業界で働いていたと知って、自分もゲーム業界に飛び込んだんです。以来、ずっとゲーム一筋ですけどね。
OPUSシリーズが影響を受けたゲームはありますか?
Brian
他のゲームからはあまり影響を受けていないと思います。ただ音楽には大きなインスピレーションを受けていますね。Hammockの曲とか、映画『Interstellar』はチーム全員大好きで、そのサントラとか。ゲームの広大さと寂静感を成立させる上で大きな助けになりました。
他には、どんなものからインスピレーションを得ていますか?
Brian
自分はアニメーションと物語が好きで、あとはシナリオライターとして働いていた経験があります。ゲームってそのすべてを合体させたメディアなので、ストーリーテリングにはうってつけだと思います。
プロジェクトの始まりは世界観とゲームプレイ、どちらが先だったのでしょうか?
Brian
実は「感情」が最初にありました。プレイヤーに「孤独から来る寂しさが、広大な場所を探索することで豊かになっていく」感覚を体験してもらうにはどうしたらいいかが始まりでした。これを実現するための設定をたくさん考えていって、自分たちが求める「広大さ」は宇宙以外にないだろうと結論付けたんです。この「感情」がすべてに優先すると決めると、ゲームプレイや世界観は自然に生まれてきました。
本作を作る上で一番苦労した部分は?
Brian
難易度設定です。これにはずいぶん長い時間をかけました。当初はカジュアルゲーマーにとっては難しすぎて詰まってしまうのに、ハードコアゲーマーにはあまりに簡単すぎたんです。そこでインターフェイスとゲームの流れを何度も何度も調整して、どちらのゲーマーも楽しめるようにしました。
では、一番お気に入りの部分は? (注:ネタバレを含みます)
Brian
個人的には、エムがシャットダウンして昏睡状態になるシーンがとても好きです。彼の意識が刹那、時間と空間を飛び越えて、リサ博士とホログラフィックのリサ、そして恒星LISAのイメージが三位一体となり、身体、精神、魂を示すあのシーン。本作のストーリーには錬金術的テーマが組み込まれているんです。小さなロボットが終わりのない探索の旅路で多くの困難を乗り越え、時間と空間を超越し、そして永遠の象徴…自らの創造者と同じ名前を持つ恒星を見つけるというね。
あるレビューは「OPUSと魂レベルで共鳴した」と評しています。どうやってそんなことが実現できたんだと思いますか?
Brian
僕らが掲げたデザインの目標と世界観の産物なのかなと思っています。OPUSはかなり強烈な「雰囲気」をまとったゲームです。だから宇宙を探索しているときでも、音楽を聞いているだけでも、プレイヤーはスッと心を開いてリラックスできるんじゃないかと思うんです。ファンからいただくメッセージでもそう言われることがあります。週末の静かな夜にプレイしたのだが本当に楽しめた、とか、辛いことがあった日に遊んだら元気が出た、とか。
矢澤 竜太
英日翻訳者。現在の主戦場はゲーム開発関連とesports関連翻訳。過去にはゲーム開発会社勤務や架け橋ゲームズ立ち上げなどを行ってきた。現在はフリーランス。イラスト:Mitsu Hiraiwa