2018.06.01
回転寿司のデッドヒート
アルヴィン フー、栗原 吉治、三宅 優
Peko Peko Sushi
HANAJI GAMES

『Block Legend』は考え抜かれたシステムと冴えたセンスによって高評価を得たゲームだった。クオリティの高いドット絵や楽曲に、クエスト満載のRPG要素がうまく融合した作品であり、どっぷりハマってしまった方も少なくないだろう。

その『Block Legend』の開発者2人が新作としてドロップしたのが本作『Peko Peko Sushi』だ。このゲームはGoogle Indie Games Festival TOP20に選出。中心人物のアルヴィン氏はゲーム開発を行う傍らでイベントTokyo Indiesの主催も務めている。グラフィック面を担当する栗原氏は豊富な経験を持つCGアーティストだ。更に本作では多くの人気タイトルを音楽家として支え続けた三宅優氏の協力により、サウンドの魅力も存分に発揮されている。

そんな御三方から出る話は、隠されたストーリーや、影響を受けたゲームへのオマージュや、はたまた禁断の追加要素やら…。果たしてどこまで本気なのか、真実はどこに?

インタビュー: 池和田 有輔

プロフィール

アルヴィン フー

プログラム、ゲームデザイン、今はHanajiGames合同会社の代表社員。 「Block Legend」「Peko Peko Sushi」のプログラマーとゲームデザイナー。 ゲームが好き過ぎるアメリカ人。

プロフィール

栗原 吉治

イラスト、グラフィックデザイン、玩具デザインと渡り歩き、今はインディーゲーム開発。 「Block Legend」「Peko Peko Sushi」ではドット絵作成。自身の企画からの物作りが好きです。

プロフィール

三宅 優

元バンダイナムコサウンドチーム。プライベートワークとクライアントワークの両立を図るため、一念発起してフリーランスに。現在は、引き続きバンナム作品に携わるほか、スクエニ、セガ、アトラス社などにも楽曲を提供している。「Peko Peko Sushi」ではサウンド全般を制作。

Tokyo Indies誕生から、2人でゲームを作るまで

池和田

アルヴィンさんと栗原さんが組んでリリースしたゲームは前作『Block Legend』に続いて2作目になると思うんですが、そもそも2人はどんな形で出会ったんですか?

アルヴィン

初めて会ったのは吉祥寺のピコピコカフェですね。作ったものをプレゼンをするようなクリエイターのためのイベントがあって、2人とも発表者だったんです。イラストとかTシャツとか、様々なものを発表するようなイベントで、僕はゲームジャムで作るような簡単なゲームを紹介しました。

栗原

うん、髭が伸びるオヤジのゲームね。

アルヴィン

髭の釣りゲーム。

池和田

どんなゲームなんだ(笑)。

栗原

僕はその時ドット絵で4コマを描いて見せたんです。女子の4コマ漫画。イベント後にアルヴィンが気に入ってくれて、僕に声をかけてくれて。5年くらい前ですね、もう。

池和田

いい出会い方じゃないですか。アルヴィンさんは東京に来る前はボストンにいたと聞きました。日本に来たのは就職がきっかけですか?

アルヴィン

というか、ゲームが好きすぎて(笑)。ボストンでは7、8年くらい前からボストン・インディのイベントが始まり、またIGDAの支部もイベントをやってたりしてたから、日本に来てゲーム開発者が交流するようなイベントがあまりないことにびっくりしました。同人ゲームを作っている人たちのイベントはあるけど、僕があったらいいなと思ったのはフラッと気軽に来て仲間ができるようなイベント。だからちょっと違うかなって思って、Tokyo Indiesを立ち上げました。

池和田

Tokyo Indiesには僕も何度も遊びに行ってるけど、開発中のゲームを試遊したり交流したりライトニングトークを聴いたり、本当に刺激的だよね。この記事を読んでる方々にはぜひ気軽に遊びに行って欲しいと思ってます。

Tokyo Indies

月1で個人ゲーム開発者で集まって、お互いのゲームを見せ合ったり意見交換をするのが目的のゆる~い飲み会。 インディー、同人、学生、プロ、職種を問わず、開発者同士が作品を見せ合って生のフィードバックを得ることができる。一般参加の場合は事前登録不要。指定席などもなく、自由に行き来できる。

Tokyo Indies Webサイト

栗原

まさかここまで大きくなるとは思わなかったけど。

アルヴィン

本当にね。

お土産に持ってきてもらった寿司をつまみつつ取材しました

暴走する寿司ロボアクションから寿司パズルへ

池和田

プロジェクトが始まったのは?

アルヴィン

実は『Block Legend』の前、というか栗原さんと出会った頃にはすでに『Peko Peko Sushi』のコンセプトがありました。このプロジェクトはピコピコカフェでプレゼンした栗原さんの4コマからつながっているんです。

栗原

これ、初期案です。

ラフスケッチからもゲームの魅力は十分に伝わる

池和田

タイトルが「ピコピコズシ」になってますね! これはやはりピコピコカフェが2人の出会いの場所だからという?

栗原

‥‥というよりもファミコンぽい、ピコピコした感じだったので。

池和田

え、そっち?(笑)。‥‥でも見た目は全く違うゲームですよね、これ。

栗原

全然違いますよね。『Peko Peko Sushi』の最初に出てくる3人の女の子は残ってるんですけどね。

池和田

しかもこの3人が主役? ロボットと戦ってますよね。

栗原

当初のアイディアでは、舞台は回転寿司がオートメーション化された世界で、お客さんに寿司を握ってくれる寿司ロボってのがいるんです。で、この子たちが仲良く3人で寿司を食べてたんですが、その寿司ロボが暴走してしまって、街に飛び出して、こう、バババッて寿司を撒き散らし始めたんです。で、この子たちがロボットから放たれる寿司を食べるってゲームで。

池和田

だいぶブッ飛んだゲームだったんですね。なんでボツになっちゃったんですか?

アルヴィン

このアイディアをまとめてた時は前作の『Block Legend』を作っていた時でもあるので、とりあえずはそっちに集中しようってなって。えーと、このアイディアはいったん忘れました(笑)。

栗原

で、『Block Legend』が終わって再開した時に「もうすこしパズル寄りにしよう」という話になったんです。もともとアルヴィンがパズル好きだし、80年代、90年代のシンプルなパズルの要素はスマホゲームに合ってるねってことで。

アルヴィン

『バーガータイム』や『タッパー』のようなゲーム。そういう昔のアーケードゲームからの影響がとても強いんです。子供の頃にゲームセンターでコインを入れて遊んでいたゲームですね。それからもちろん『ぷよぷよ』『マジカルドロップ』の影響も。

栗原

あとはバカゲーとして有名な『俺の料理』というPS1時代のゲーム。

アルヴィン

そう!キャラをおばあちゃんにするとゲーム中におばあちゃんの声で「いらっしゃいませ」というのは『俺の料理』から引き継ぎました(笑)。

パズルならではの駆け引きと、あえての無理ゲー要素?

池和田

開発を進める上で、一番大きな困難は?

アルヴィン

ゲームバランスですね。いろんなゲームからインスピレーションを得てはいるけど、やっぱりこれは独特のゲームなので、バランスを取る上で比較できるようなものがなかったことが大きいです。さらに「イージー」「ノーマル」「ハード」と言うような難易度の設定もないので、イベントなどで初めてプレイする人たちはみんな難しく感じるし、慣れれば今度は優しくなり毎回簡単にSランクが取れてしまう。それだとゲームとしては良くないので、そのあたりの調整に一番気を使いましたね。

池和田

バランスという意味では「コンボを繋げて行くべきか、あるいは一度に大量の寿司を食べてもらうべきか」という駆け引きがありますよね。

栗原

ああ、一気食いはハイスコアが狙えるけど、実際は難しいんですよね。

池和田

ですよね。僕は「一度に1500円以上売り上げを15回繰り返す」というアチーブメントがとても厳しく感じました。

アルヴィン

ああ! あれ 難しすぎですよね! あれは僕、知らなくて。

池和田

ええ、自分で実装しておいて?

アルヴィン

ミッションには「簡単」「普通」「難しい」というレベルのばらつきがあったほうが良いと思うけど、さらにその上の「無理」があって、このミッションはそれになります(笑)。

池和田

無理なんだ…(笑)。

いろいろギリギリなフィーチャーは今後実装されるのか?

池和田

このゲームはストーリーラインがあるんですかね?

アルヴィン

ありますよ。舞台は高円寺にあるペコペコ寿司ってお寿司屋さんで、そこで店を切り盛りしてた「おばあちゃん」が引退を考えているんです。

池和田

あ、高円寺なんですね。中央線文化圏だ。

高円寺の商店街入り口もちょっとアレンジされて登場

アルヴィン

で、おばあちゃんは、孫の「あやめちゃん」に店を託すわけです。あやめちゃんはそれに応えるべく店を盛り上げようとする話。

三宅

知らなかった(笑)。プロジェクトの途中から「女子にもプレイしてもらおう」ってなったのは覚えてますが、確かにストーリーがあった方が女子ウケが良くなりそうだよね。

池和田

あ、相関図あるんですね! これは公開してるんですか?

アルヴィン

Twitterだけですね。

謎のキャラクターも存在する?キャラクター相関図

三宅

えー、勿体無い。せっかく作ったのに。今から入れよう(笑)。

池和田

うん、どこかで入れましょう。今後もバージョンアップが続くわけですよね。

アルヴィン

そうですね。今はバグフィックスの方が忙しいけど、一段落したらバージョンアップします。

池和田

では、今後のフィーチャーについて教えてください。

アルヴィン

リアルタイムを取り入れたいんですよね。昼になったり夜になったり、週末のプレミアムフライデーはお店がサラリーマンで一杯になったりとか(笑)。天候も現実の天気がゲームにも反映されるような。

池和田

高円寺の天気が?(笑)。

アルヴィン

いや、そこはプレイヤーの天気ですね(笑)。GPSで。

池和田

スマホ以外でも遊んでみたいってリクエストがあるのではと思うんですが。

アルヴィン

そうですね。もしもコンソール、例えばSwitchに移植するとしたら対戦を盛り込みたいですね。

池和田

お、それは盛り上がりそうですね。

アルヴィン

コンボを決めると「ぷよぷよ」みたいに対戦相手に邪魔なオブジェクトが飛んでいくことを考えてます。そのオブジェクトとは、お客さんが食べた寿司がう○こになったやつなんですが…。

池和田

ヤバいとしか(笑)。

三宅さんの語る、インディ作品の音楽制作の魅力とは

池和田

では続いて三宅さんにお伺いします。本作では音楽の魅力もとても大きいと思うんですが、三宅さんのお仕事のキャリアはかなり長いのでしょうか。

三宅

97年からこの仕事をしてるんで、だいぶ長いですね。自分が子供の頃の音楽、つまり80年代の音楽って商業的なものばっかりだったから、なんだかヌルく感じて。ゲーム音楽をテクノミュージックとして聴いてました。音もピコピコしてたし。

池和田

テクノポップ的な感じですね。でも音色もあらゆるものが使える時代になって久しいわけですから、作業環境などは大きく変わったのではないかと思うんです。それからやりがいを見出す部分なんかも。

三宅

僕は音楽も効果音もボイスも、ぜんぶ見るタイプで、それをどう実装してどう鳴らすかと考えたりするのが好きなんです。なので、環境が変わっても考える方向性は基本同じなのかなと。さっき話に上がったテクノ音楽って、一般的には色んな解釈があると思うんですが、テクノロジー音楽だとも思っていて、技術で解決するというような。それをゲームサウンドに応用する。そこはやりがいを感じている部分かもしれませんね。

池和田

アルヴィンさんからはどのようなディレクションがあったんですか?

三宅

今回はかなり自由にやらせてもらいましたね。本当はもう一曲、ラップのアイデアがあったんですが、寿司のラップ。

池和田

どんな感じなのか気になりますね。

三宅

なるたけ萌え声とか、子供でもいいかも。あとはメッチャ可愛い声のおばちゃんとか。機会があれば実装したいです。

池和田

自由にやっていた、という雰囲気はとても良く伝わりました(笑)。

三宅

ちょっと感動的なことを言うと、今回のような成長途中にあるようなプロジェクトは、やってて本当に楽しいんですよ。以前、僕は『塊魂』の音楽なども手掛けてましたが、何だか近いものを感じるんです。あの作品は社内では最初、「ダメだよ」という雰囲気だったんですが(笑)、それでも頑張って、壁を乗り越えていくような感じがあって‥‥今回のようなインディゲームの開発現場も同じような雰囲気を感じましたね。

数々のコラボレーションはいかに実現されたか

池和田

このゲームは色々なゲームとコラボレーションしてますよね。『かいぞくポップ』や「『Strange Telephone』、それから『Million Onion Hotel』のキャラも出てくる。これらは「他のゲームのフックアップしたい」みたいな気持ちがあったんですかね?

アルヴィン

というよりは、単純に「出てきたら面白いよね」というという考えが強いです。みんな知り合いだったり友達だったりで、例えば『Strange Telephone』はyutaさんに「ちょっと出してもいい?」「いいよ」みたいな。

栗原

アルヴィンから「ジル描いてー」ときたら、僕は「おーいいよー」みたいな感じでしたね。

池和田

ユルい感じで(笑)。

アルヴィン

そんな感じでまだまだキャラは追加予定ですよ。ぜひ楽しみにしていてください!

前作に引き続き、今作でもユニティちゃんがゲスト出演。果たして最終進化系は?

プロフィール

池和田 有輔

フリーランスとしてWEB制作・広告制作のキャリアを経て、2013年からRépublique開発チーム(Camouflaj, LLC.)に参加。ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社に入社後はエバンジェリストとしてUnityの伝道活動に携わりつつ、Made with Unity日本版の編集長をやってます。

Peko Peko Sushi

HANAJI GAMES
  • カジュアル
  • アクション
  • パズル

プラットフォーム

  • iOS
  • Android

言語

  • 日本語
  • 英語
  • スペイン語
  • 韓国語
  • appstore
  • googleplay

GAME ゲーム

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