2018.03.01
横スクロールと虫に魅せられて
Team Cherry
Hollow Knight
Team Cherry

2012年、3人の新進オーストラリア人ゲームディベロッパーが独立してスタジオTeam Cherryを設立した。彼らの間に絆が生まれたのは、全員がある名作タイトルを楽しんだ思い出を抱いていたからだった。『リンクの冒険』で心を結ばれたアデレード出身の3人Ari Gibson、William Pellen、David Kaziは、やがて自分たちが作ったタイトルでメトロイドヴァニアジャンルのスマッシュヒットを飛ばすこととなる。成功を収めたスタジオが往々にしてそうであるように、きっかけは些細な事柄だったのだ。

「Ariにはなんというか、マジックみたいな魅力があるんだよね。僕らの目の奥まで見つめながら ”これから俺たちは最高にクールなゲームを作るんだ” とか言うんだよ」Pellenは後に、Brutalgamerにそう語っている。「何度かゲームジャムで同じチームになった後、きちんとした規模のゲームを作ってみよう!って決めたんだ。開発は本当に楽しかったね!」
こうしてゲームジャム的メンタリティとアニメーションの手腕がひとつになり、Team Cherryは2014年から2015年にかけて開発へと乗り出した。Kickstarterキャンペーンが大成功に終わり、いくつものストレッチゴールも達成したことも開発の大きな助けとなった。そして2017年2月、彼らは当初の約束通り…いやそれ以上のものを完成させ、『Hollow Knight』をリリースした。同作は今や50万人の横スクロールアクションファン・虫好きを満足させたスマッシュヒットとなっている。

不思議で、美麗で、とにかく「変」

『Hollow Knight』は手強い難易度と美しいアートで描かれた虫たちが特徴的なアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは小さくかわいらしい虫の主人公となり、地図を集め、騎士の爪(剣のような武器)で敵やボスに挑み、凶悪な怪物と複雑な罠を突破しながら菌類の遺跡や骨の寺院、荒廃したゴシック風地下都市を旅して秘密を解き明かしていく。

本作はスキルと探索要素に重きを置いており、プレイヤーはいくつものエリアが繋がってできた広大な地下王国「Hallownest」を冒険していく。Pellenはこの点についてRed Bull Gamesにこう語っている。「大事にしたのは、壮大な冒険に旅立つあの感覚をもう一度作り出すことだった。モンスターやおもしろいキャラクター、そして隠しエリアが満載の不思議な世界でね。それから、未知の危険が潜む未踏の大地を自分で切り拓いていく感覚もすごく大事にしたよ」
圧倒的に美しいビジュアルで描かれた『Hollow Knight』はレビューでも高い評価を獲得している。Metacriticスコアで86/100を獲得した上に、PC Gamerのあるレビュアーには「手描きアートのゲームで、今まで(自分が)プレイした中で一番美しいタイトル」とまで言わしめている。一方、他のレビューではゲームプレイも賞賛されている。「『Hollow Knight』はゲームプレイの面でも予想以上の完成度だ。それがゲームとして最高峰の2Dアニメーションで表現されている」
取材当時、Team CherryはSwitch版の移植作業に取り組んでいるところだった。リリース予定は2017年後半。おそらくその後も活躍を見せてくれることだろう。また既に無料のコンテンツパックもひとつリリース済みで、ハロウィンの時期にはさらに無料コンテンツパックが登場する予定となっている。

鮮烈な2Dビジュアルを可能にしたスプライトの存在

美しいゲームを作るのに、必ずしも技術的偉業を成し遂げる必要はない。『Hollow Knight』はこの言葉の正しさを示すこの上ない好例と言えるだろう。Team Cherryは本作の開発中、Unity内蔵の開発ツールとアセットストアから入手できるツールを最大限に駆使して設定した技術的目標を達成すると決断している。それ以外の時間を自分たちの強みである「鮮烈なアート」作りに使えると判断したからだ。

同作の鮮やかなアートを実現するアセットは、Photoshop上で制作された手描きアートと標準的なアニメーションを普通のPNGファイルとして保存するという実にシンプルなフローで作られており、シェーダータイプもシンプルな幾つかのもの(sprite_defaultやsprite_diffuseなど)を多少修正して使っている。
またライティングについても、複雑な3Dライティングシステムの役割をソフトな透過シェイプで代用しているという。ステージの制作ではUnity内蔵の各種2D機能(2D Physics、Sprite Packer、Particle System)とアセットストアで入手した2D Toolkitを使い、3D環境に2Dアセットのレイヤーを重ねる手法を取っている。

Team Cherryが2Dアセットを重ねて制作した鮮やかなビジュアルを横から眺めた図

メンバーにはコーディングの経験も多少あり、一部の要素についてはカスタムスクリプトを書いたものの、敵キャラクターとインタラクティブ要素についてはすべてPlaymaker(星5評価のビジュアルスクリプティングパッケージ)で制作しているという。 

Team Cherryが使用している上記ツールやこの他の有用ツールは、すべてアセットストアで提供されている。

Hollow Knight

Team Cherry
  • アクション
  • アドベンチャー

プラットフォーム

  • Windows
  • Mac
  • Linux

言語

  • 英語
  • フランス語
  • ドイツ語
  • スペイン語
  • ポルトガル語
  • ロシア語
  • イタリア語
  • 中国語
  • 韓国語
  • steam

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