2017.08.29
歴代のロードランナーの特徴
坂野 拓也
Lode Runner Legacy
Tozai Games

ロードランナーを一口に語るのはなかなか難しいものがあります。というのも1983年に誕生して以来、この34年間で正規のものだけでも100種類ものロードランナーが20社以上からリリースされており、第一作とは大きく特徴の異なるバージョンも多数存在するのです。同じロードランナーでも人によって思い浮かべるバージョンや好きなバージョンが別のものだったりするのは良くあることです。このような多様さが存在するゲームは珍しいのではないでしょうか。

ロードランナーはステージ内に散らばる金塊を全て集めて脱出する、至ってシンプルなゲームです。その最大の特徴はランナーが左右の足元のブロックに穴を掘ることが出来ることにあります。穴を掘ることで、普通では行けないところに行けたり、敵を落とすことができ、穴の掘り方や敵の誘導がステージクリアへのカギとなるなどパズルの側面が生まれ、ゲーム性にぐっと深みを与えています。歴代のロードランナーも「金塊を集める」、「穴を掘る」という点は必ず共通しています。

多数のロードランナーを分類しようとすると色々な切り口が考えられますが、今回はファンの人気度という観点から4つのバージョンをご紹介したいと思います。

クラシック版

まず一つ目は「クラシック版」です。ロードランナーの第一作はApple IIというPCで発売されましたが、その後1980年代中盤までに日欧米のありとあらゆるPCやゲーム機に比較的忠実に移植されました。それら移植作を含めて「クラシック版」と呼ぶとすると、シンプルなグラフィックとゲームルールでステージをクリアしたり、ステージをエディットしたりするのがクラシック版の楽しみ方です。如何せん30年以上前のゲームですので現在の環境では遊びにくいのが難点と言えましょう。ちなみにスマートフォンにはApple II版を再現した”Lode Runner Classic”が現在も配信されています。

ファミコン版

次に「ファミコン版」です。ファミリーコンピュータ版ロードランナーはハドソンにより移植され、ミリオンヒットとなりました。日本ではロードランナーと言えばファミコン版を上げる人が多いようです。基本的なゲームデザインは原作を踏襲しつつも、ステージが1画面に入りきらずにスクロールする点が大きな特徴です。画面外のエネミーがどこにいるか分からないため全体の戦略が立てにくく、プレイ体験としてはややアクション性が強くなっています。またキャラクターデザインやサウンドが秀逸なのも特筆すべき点であり、特に愛らしいBGMは思わず口ずさんでしまいます。ファミコン版は現在でもWii Uのバーチャルコンソールでプレイすることができます。

アイレムアーケード版

3つ目は「アイレムアーケード版」です。ゲームセンターで遊べるバージョンで、アイレムより1984年~1986年にかけて4作品が作られました。原作をベースにしながら「時間制限」と「テクニカルボーナス」というアーケードならではの改変がされています。テクニカルボーナスとは例えば「敵を1匹も殺さずにクリア」、「敵を壁の間に閉じ込める」、「落下する敵の頭に乗る」などの特別なプレイをするとボーナス点がもらえるというものです。これらにより単にクリアするだけでなく「いかに制限時間内に高得点を取るか」という「攻略」の要素が格段に強まりました。同じステージを繰り返し遊んでしまう中毒性があり、現在でもハイスコアの研究が続けられているという噂もあります。音楽やサウンドも非常にユニークで、特に「スコーン!」という穴掘り音は胃に響くような気持ちよさがあり、当時のゲームセンターでも鳴り響いていたように記憶しています。現在では正規でプレイする方法がなかなか無いため、復刻要望がTozai Gamesにも度々寄せられています。

レジェンドリターンズ版

4つ目は「レジェンドリターンズ版」です。PCとPlayStation、セガサターンで発売されたこのバージョンは、従来のロードランナーから大きく変化しています。ステージ内の金塊を集める点は同じですがゲーム内に様々なアイテムが登場し、プレイヤーは穴を掘るだけではなく、トラップを仕掛けたり、床にオイルを流したり、爆弾を爆発させたりとバラエティに富んだアクションが楽しめます。新しいアクションの多くは敵を倒すために存在していますが、敵を倒すことに焦点を当てたロードランナーは意外と珍しいかもしれません。また2人同時プレイに対応しており、友達と協力しながらプレイできます。2人でプレイすれば敵を分散させたり、1人だと行き詰まりそうな複雑な地形を攻略出来たりと遊びの幅が更に広がります。実はアメリカではロードランナーと言えばこのレジェンドリターンズを思い浮かべる人が最も多く、特に友達と遊んだ2人プレイは90年代の記憶と共に青春の良い思い出となっているようです。

まとめ

と4つのバージョンについて解説してきましたが、人によって思い浮かべるロードランナーが違うということは何となくご理解頂けたのではないでしょうか。他にもユニークなロードランナーはたくさん存在しますし、他のバージョンの方がお気に入りだという方ももちろんおられるでしょう。最後にこの文章をまとめると、ロードランナーはそのシンプルかつ完成されたゲームシステムゆえ、過去に色々なバリエーションが生まれ、将来に向けては更なる発展の余地が大いに残されていると言えます。

このロードランナーの灯火を絶やさないためにもロードランナーの最新作「ロードランナーレガシー」をTozai Gamesよりリリース致しました。原点回帰をコンセプトとし、シンプルながら奥深いゲーム性はそのままに、オンラインによる自作ステージ交換など30年前にはできなかった新しい要素を盛り込んでいます。本日ご紹介した4つのバージョンの特徴も各所に垣間見られると思いますので、この記事を読んで少しでも興味を持っていただけたら是非触ってみて頂きたいと思います。

プロフィール

坂野 拓也

株式会社Tozai Games代表。マイクロソフトでXboxとXbox 360の立ち上げに携わった後、2011年に米Tozai, Inc.とのパートナーシップの下、日本でTozai Gamesを立ち上げる。「みんなでスペランカー」シリーズのプロデューサー兼ゲームデザイナー。新作「Lode Runner Legacy」プロデューサー。

Lode Runner Legacy

Tozai Games
  • アクション
  • パズル

プラットフォーム

  • Windows

言語

  • 日本語
  • 英語
  • フランス語
  • ドイツ語
  • スペイン語
  • イタリア語
  • steam

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