インタビュー・翻訳: 矢澤 竜太
プロジェクトが始まったきっかけは?
Anucha
始まりは一枚のスケッチだったんです。趣味で描いた未来的な宇宙潜水艦。それが最終的にゲームになるまで14年かかりました。
ゲーム開発者になったきっかけは?
Anucha
実のところPixel Perfexはアートとデザインを専門とするデザインスタジオだと思っているんです。みんなゲーム開発もすごく楽しんでますけどね。
最近はどんなゲームをプレイしていますか?
Anucha
グラディウス、R-TYPEなど、2Dサイドスクロールのシューティングゲームが大好きなんです。ずっとこのジャンルで新作を待ち望んでいるんですけど、最近はそういうゲームを作り続けてる人がとても少ないんですよね。
ゲーム以外では、どんなものからインスピレーションを得ていますか?
Anucha
もちろん日本のアニメと漫画です。全部大好きです。
目指すアートスタイルとゲームプレイを両立するためにUnityを採用したそうですね
Anucha
はい、主にビジュアライゼーションのためでした。
手描きスケッチスタイルのシューティングゲームっていうアイデアは、14年前に浮かんだんです。当時、ぜんぶ手描きでやれるだろうと思ってアニメーションの試作とかもしてみたんですが、結局それではゲームとして成立させるのが無理だと悟って。その時一度プロジェクトはポシャったんですよ。で、その後何年も経って、プリレンダリングCGの技術を使ってもう一度試してみたんです。その時は完ぺきな出来栄えだったんですが、グラフィックデータが大きすぎて、特にモバイルゲームとしては実現不可能だった。それでプロジェクトは再度凍結されました。
そして3年前にUnityで遊び始めて…触っていくうちに、ローポリ3Dモデルとお絵かき風シェーダーで「あのアイデア」を実現できるんじゃないかと考えました。そこから6ヶ月かけて新しいプロトタイプとカスタムシェーダーを作って…今やゲームは完成間近、というわけです。すごく長い旅路だったんですよ。
開発中一番楽しかった・楽しいことは?
Anucha
一番楽しいのは、やっぱりゲームフェス、BIC Fest、TGS、BitSummitなどに出展して、皆さんが楽しんでプレイしてくれる姿を見ることです。
Anucha
『Earth Atlantis』はアートスタイルからゲームプレイまで全部が僕にとってすごく個人的なプロジェクトなので…。誰もに好かれるゲームじゃないだろうなってことはずっと分かってました。僕はこのゲームを、とにかく自分が遊びたいように作ってきたので、同じように感じてくれるゲーマーが存在するとしたらそれだけで大成功です。
それから「5th BitSummit」では大きな賞を、「BIC Fest韓国」ではベストアート賞をいただいて、業界内でも認知してもらえたのは本当に嬉しかったですね。
本作でお気に入りの部分は?
Anucha
もちろんアートスタイルとゲーム性です。
アートスタイルはかなり変わっているので、メインストリーム層にはあまり響かないんじゃないかと思います。でも長い年月をかけて一枚のスケッチをゲームにしてきた今の姿は、僕が14年前に夢想したものとほぼ同じなんです。こんな素敵なことってないです。
ゲーム性のほうも他のシューティングとは違う点ですね。自分が好きなゲームプレイ要素をギュッと詰め込んであります。たとえば僕はボス戦が大好きなので、『Earth Atlantis』はボスバトル・ボスハントに大きなフォーカスを置いています。一般的なステージ区切りの構成じゃなく。
開発中、一番難しかった決断は?
Anucha
特に困ったことはありませんでしたね。
「個人的」なプロジェクトとして始まったとのことですが、小規模チームでゲームを作るコツなどがあれば教えてください
Anucha
個人的なプロジェクトの場合は特に、「いつストップをかけるか」を知ることです。どこまでやっても、たとえ自分以外の誰も気づかないとしても、ディテールの部分で満足できないポイントは見つかりますから。それをスルーするのはあまり簡単じゃないですけどね。
それから、企画とビジュアルの面で100%納得いく結果が出るまではプロジェクトの規模を大きくせず、小さく抑えておくこと。『Earth Atlantis』ではプロトタイプを2回破棄しています。ゲームの最終盤は3年前に作成した3つめのプロトタイプをベースに制作したものです。そして僕らが商業リリースのレベルまでゲームの規模を広げたのも、3つめのプロトタイプが完成したときでした。
最後に、本作を楽しみにしている日本のゲーマーに一言お願いします
Anucha
僕は日本のゲームを遊んで大きくなりました。2Dスクロールシューティングのグラディウス、沙羅曼蛇、パロディウス、R-TYPE、ツインビーなどは全部遊んでいると思います。僕が『Earth Atlantis』を作ったのも、この衰退しつつあるジャンルを愛しているからです。僕と同じようにこのジャンルが好きな方なら、きっと『Earth Atlantis』も楽しんでもらえると思いますよ。
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矢澤 竜太
英日翻訳者。現在の主戦場はゲーム開発関連とesports関連翻訳。過去にはゲーム開発会社勤務や架け橋ゲームズ立ち上げなどを行ってきた。現在はフリーランス。イラスト:Mitsu Hiraiwa