2018.06.12
“負けず嫌いな自分” を解き放つ対戦シューティング, “熱中” へのこだわり
Justin Rempel
Rival Megagun(ライバル・メガガン)
Spacewave Software

「凄く好きなジャンルなのに最近新作が出ない」

長くゲームを遊んでいると誰しも多少は感じたことがある感覚だ。カナダ・バンクーバーのインディーゲーム開発者Justin Rempel氏にとって、それは対戦型シューティングだった。そして彼は「それなら、自分好みのゲームを自分で作ってやろう」と決意する。

本業の傍ら1人でプロトタイプを作り、やがて開発に専念するため会社を設立。幼い頃からシューティングと対戦ゲームを愛し続けた彼がこだわり続けるのは、ゲームに熱中しているときの「あの感じ」だ。

去る5月、インディーゲームの祭典BitSummit(開催地:京都)出展のため来日していた同氏とお話する機会を持つことができたので、『Rival Megagun』についてインタビューを行った。

インタビュー・翻訳: 矢澤 竜太

プロフィール

Justin Rempel

カナダ・バンクーバーを拠点とするゲーム開発者。ゲーム開発歴は趣味で約20年、プロとしては5年。好きなゲームはハイスピードなアクションゲームとアーケードゲーム。

遊ぶより作るほうが好きだった少年時代

矢澤

よろしくおねがいします。早速ですが、これまでのキャリアを簡単に紹介していただけますか?

Justin

4年前に母国カナダの大学でコンピューターサイエンスを修めて、地元の小規模ゲームスタジオで数年働き、そのときに余暇時間を使って『Rival Megagun』の開発をはじめました。その後本作に注力するため独立、今に至るって感じです。

矢澤

なるほど…ゲームクリエイターになろうと思ったきっかけって何だったんでしょう?

Justin

正直覚えてないんです。小さい頃からゲームは遊ぶより作るほうが好きな子供だったので。『Star Craft』ならマップエディター使ってマップ作るとか。当時遊んでいたゲームにも、そういうエディターがあるやつが好きでした。ある程度大きくなってからはFlashとかMultimedia Fusionとかでプログラムを書くようになって…今に至ります。

矢澤

それは珍しいですね…!

Justin

いや、インディー開発者ってそういう人多いと思いますよ。必要以上にゲーム作りにハマっちゃって仕事にした人種。もちろんゲームを遊ぶのも好きですけど(笑)。

好きだからこそ譲れない対戦へのこだわり

矢澤

ところでシューティングに対戦要素というのも珍しいと思うんですが、アイデアはどこから生まれたんですか?

Justin

実は対戦型シューティングって過去に何本か出てるんですよ。元々はそれらを遊んでいたのがきっかけだったと思います。それから対戦ゲームを好んでプレイしていたというのもあるかな。『マリオカート』や『スマッシュブラザーズ』シリーズも凄く遊んだし。でも対戦型シューティングは最近出てないから、自分で対戦型シューティングを作りたいなと思って。

矢澤

自分の好きなゲームがないなら自分で作ってやろうと。

Justin

そうそう。一番やりこんだ対戦型シューティングは『ティンクルスタースプライツ』だったんだけど、あのゲームはある種のパズル要素が組み込まれてたんですよね。だから僕は対戦という要素を維持しつつ、よりシューティング寄りのゲームを作りたかった。弾幕があり、スピード感があり…みたいに。

矢澤

本作のもうひとつの特長が「自機がメガガンに変形すると相手の画面に“侵略”する」ところだと思うんですが、対戦ゲームって基本的に「キャラクター同士の強さは同等で、プレイヤーは己のスキルで勝利を掴む」というルールが根底にあると思います。 本作を作る上で、競技性とメガガンの圧倒的な存在感を両立するのは大変そうですが…?

Justin

確かにそこのバランス取りはずっと課題でしたね。だからプレイテストをずーっと続けてバランス調整をしてきました。色んな人にビルドを送ってフィードバックをもらって、調整しての繰り返しです。ただ、どれだけ早くメガガンに変形できるかは完全にプレイスキル依存にしてあるんですよ。あと、特定のメガガンだけが他のものより圧倒的に強いとかはないんです。どちらかというと、各機の長所と短所、そして相手の得意分野と苦手分野を見極めて使うのが大事で。特定の攻撃パターンを苦手とする人って結構いるので、知り合い同士の対戦となれば「あいつの苦手なメガガンで行こう」みたいな駆け引きが生じてきます。

矢澤

メガガンは格闘ゲームにおける超必殺技的な立ち位置なんですね。合点がいきました!『ティンクルスタースプライツ』以外に影響を受けたゲームってありますか?やっぱりシューティングや格闘ゲームでしょうか?あるいは何かぜんぜん違うジャンル…『ぷよぷよ』とか?

Justin

確かに『ぷよぷよ』もかなり遊んだので、影響はあるかもですね。ただ僕はシューティングゲームが大好きなので、そっちからの影響のほうが強いです。たとえば『レイフォース』とか。他にインスピレーションを得たゲームは…変わったところだと『マリオパーティ』ですかね。ただ、参考にしたのはゲームプレイ要素じゃなくて、あのゲームが持ってる「負けず嫌いの自分」を引き出すあの感覚を自作でも引き出したかったんです。あと『マリオパーティ』って根本的に「ゲーム自体が自分を陥れようとしてくる」、「ゲームは自分の味方じゃない」感覚があるじゃないですか。アレが好きなんです。

矢澤

なるほど…。ところで作中で流れる音声ってかなり格闘ゲームっぽいですよね。やっぱりこれって狙ってやっているものですか?他にも格闘ゲーム好きならクスっとするような要素があったりします?

Justin

格闘ゲームは苦手だけど大好きなんですよ。確かにあの部分の音声はそれっぽくしました。他には…メガガンが登場するときにカットインが入るんですけど、あれも格闘ゲームの超必殺技のノリを意識していますね。

メガガン変形時のカットイン。この後対戦相手の画面へ「侵略」していく

「ゲームに腹を立てる」くらいの熱中度を目指して

矢澤

シューティングゲームを開発していると、どうしても気づかない間に難易度が上がりすぎる事があると思うんです。より多くの人が遊べる難易度になるように取った対策などはありますか?

Justin

それは間違いなくありましたね…。これもやっぱりプレイテストを重ねに重ねて対処してきました。あと、僕がレベルデザインや敵のデザインをするときはまず難易度ノーマル向けに作るんです。一方で自分でプレイするときは一番高い難易度で遊ぶので、「自分にとって最高難易度が”ノーマル”に感じたら、普通の人にとっての難易度ノーマルも”ノーマル”になるだろう」みたいに当たりをつけました。で、そこからプレイテストを重ねて難易度を調整していったんです。

矢澤

普通のプレイヤーに難しすぎる!と言われた時はどうされたんですか?

Justin

最初は「少し遊んだら上達して対処できるようになるよ」って言うようにしてたんですけど、それでも手も足も出ない箇所とかはどうしても出てきちゃってましたね。調整を加えてました。完全にボツにすることはほとんどなかったですね。

矢澤

次はちょっと変化球な質問なんですけど…「あなたらしさ(あなたのチームらしさ)」はこのゲームのどこに現れていると思います?

Justin

そうですね…『マリオパーティ』の話でも少し触れましたけど、僕は対戦ゲームが好きで、互いに悪態をつきながら遊ぶのが好きで、変な言い方になるけど「ゲームに腹を立てる」のが好きなんですよ。もちろん本気で怒るわけじゃなくて、熱中しているから興奮して、という文脈でですけどね。あのアドレナリンが出る感じ。『Rival Megagun』にはそれがしっかり入れられたと思うので、そこが一番の僕らしさかなと思います。

矢澤

おお…すごくストレートに伝わりました!

1人だけだから作るときはシンプルな合理性を

矢澤

開発中には困難もあったと思うんですけど、一番苦労した点は何でしたか?

Justin

オンラインマルチプレイヤーかな…。今は各プラットフォーム向けに実装が終わりましたけどね。本作の場合、それぞれの画面でプレイしているぶんにはそんなに同期に気を使う必要がないのでいいんですけど、メガガンに変形するとそうじゃないので。納得行くデキにもっていくには試行錯誤も必要だったし、かなり時間がかかりました。最終的には予測とかシミュレーションとかも使ってます。プログラマーは1人なので、まずは一番シンプルな方法を試し、それがダメならもう少し複雑にしてみる…みたいに作っていきました。

矢澤

プログラマーは1人なんですね!大変そうです…。

Justin

でもこの仕事大好きだから全然問題ないですけどね!

矢澤

よかった(笑)。さて…インタビューも終わりに近づいてきましたが、Unityを採用した理由は何だったんでしょう?

Justin

実はプロトタイプはJavaで作ってたんですよ。

矢澤

Javaですか!?ゲーム用のライブラリを使ったりして?

Justin

そうそう。Lightweight Java Game Libraryを使ってました。Javaにした理由は当時Javaを習得したかったからというだけでした。だからそれ自体は楽しかったんですよ。でもいざ作り込もうという段になって、「ええーUIシステム作りたくないなあ…ちょっと待って解像度の対応もやるの…」って気持ちになって(笑)。で、職場でUnityの使用経験があったから、Unityに乗り換えてどんどん作っていこうってことになりました。おかげでだいぶ時間を短縮できましたよ!

矢澤

最後に、日本のゲーマーに、シューティングファンに一言お願いします!

Justin

僕自身、日本のゲーム、特に対戦要素のあるゲームが大好きなんです。だから、日本の皆さんが僕が日本のゲームに感じている愛と同じくらい『Rival Megagun』を好いてもらえたら嬉しいです!

プロフィール

矢澤 竜太

英日翻訳者。現在の主戦場はゲーム開発関連とesports関連翻訳。過去にはゲーム開発会社勤務や架け橋ゲームズ立ち上げなどを行ってきた。現在はフリーランス。イラスト:Mitsu Hiraiwa

Rival Megagun(ライバル・メガガン)

Spacewave Software
  • シューティング
  • パズル

プラットフォーム

  • Windows
  • PlayStation 4
  • Xbox One
  • Nintendo Switch

言語

  • 日本語
  • 英語
  • steam

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