2019.09.02
『優しい世界』で紡がれる美しくも哀しい物語
しんいち
World for Two
Seventh rank

2019年5月のリリース以来、絶賛の嵐が鳴り止まないインディゲーム『World for Two』。舞台は、突然の大災害によってあらゆる生物が死に絶えた世界。ただ一人生き残った博士は、この世から消えた「生物」を創るためにアンドロイドを生み出す。その博士の真の目的は...

説明を最小限に抑えた壮大な世界観、昼夜の移り変わりが美しいドットのグラフィックに秀逸なBGMなど、見事な内容にも関わらずこのゲームは完全無料。任意で製作者への支援を募るというスタイルを選んだ。

本ゲームの製作に携わったのはたった3人。中心人物であり、インディゲームデベロッパー「Seventh rank」として活動するしんいち氏、コンポーザーの椎葉大翼氏、デザイナーのハフハフ・おでーん氏だ。この奇跡のようなゲームがいかに作られたのか、本作にてゲーム監督、プログラム、ストーリーなどを手掛けるしんいち氏に話を伺った。

プロフィール

しんいち

株式会社セブンスランク代表取締役社長。 スマホアプリ『World for Two』の開発者。 Cocos2dxとUnityを雰囲気でやっている。 Twitter: @shinichi399

まず、しんいちさんのいままでの経歴を簡単にお教えください。神戸を拠点に活動されているということですが…

しんいち

WEB系の会社で働いていましたが、2012年に独立し「株式会社セブンスランク」を立ち上げ、個人でアプリ開発を始めました。

「セブンスランク」ではこれまでにどういったゲームを作られてきたのでしょうか?

しんいち

ナンプレLv999』や『マインスイーパーLv999』などのパズル系アプリを製作しています。999シリーズは累計100万DLを突破し、『ナンプレLv999』は『宇宙兄弟』ともコラボさせていただきました。

『World for Two』の静謐な世界観に引き込まれてしまったのですが、しんいちさんが影響を受けたゲームなどがありましたらお教えください

しんいち

好きなゲームですか。ジャンルで言えば『FPS、アクション、パズル、PRG、アドベンチャー、ストラテジー』など、だいたい好きです。タイトルを上げると『Last of Us』『FF15』『Celeste』『Nuclear Throne』など。他にもまだまだたくさんありますが…。

とくに『World for Two』に影響を与えた作品はありますか?

しんいち

影響を受けたと思うのは、世界が退廃していく系の映画・ゲーム・漫画でしょうか。私はゾンビ映画などが好きなので、そのあたりの影響が大きいと思います。特に影響が大きいと思うのは、『Last of Us(ゲーム)』『アイ・アム・レジェンド(映画)』『鋼の錬金術師(漫画)』です

『悲しい感動』ではなく『優しい感動』を

しんいちさんが一人で世界観、ストーリー作りからプログラムまで自ら手がけられた『World for Two』ですが、アイデア・世界観はどういう経緯で、いつ生まれたのでしょうか?

しんいち

元はスマホでのカジュアルゲームとして製作をスタートしました。箱庭系ゲームで生物を作って賑やかにするというだけの物でしたが、作っていくうちに欲がでてきまして、ストーリーを追加したりと現在の形に至りました。世界観に関しては完全に私の趣味です、ポストアポカリプスが好きなんです。

ストーリー面はどのように考えていかれたんでしょうか?

しんいち

ストーリーは、私の中で『感動するゲーム』を作りたいという夢がありまして。しかし『悲しい感動』ではなく『優しい感動』にしたいという思いがありました。それで私の中で『優しい世界』をテーマとして考えたのが『World for Two』のストーリーです。見方によっては全然優しい世界じゃないんですけどね。ちなみにタイトルの『World for Two』は『Tea for Two』(邦題:二人でお茶を)という言葉がアイデアの元になってます。

「セブンスランク」という会社を運営・開発する傍らで、『World for Two』を完全オリジナル作品として作られていたのですよね。企画から実際の制作、完成までにはどれくらいの期間がかかったのでしょうか?

しんいち

企画から完成までの期間は、約2年です。仰る通り仕事と平行していたので完全に製作が止まっていた時期もありました。モチベーションはゲームイベントの締切でしたね、追い込まれるとがんばれますので。2017年のデジゲー博、2018&2019年のBitSummitに出展しました。

音楽・デザイン以外をお一人で手がけられていますが、制作の際にはまずどこから考えて、どのように形にしていかれたのでしょうか?開発中、”行き詰まり”を感じることはありましたか?

しんいち

ストーリーを考えつつ、ゲーム的な要素を考え、各要素とストーリーの辻褄が合うように調整していきました。ストーリーを考える部分ではよく行き詰まっていました、最初に考えたストーリーは宗教的な要素も多く入っていて、話も小難しくなっていたのでボツにしたんです。スマホゲームですから、年齢が若い方もたくさん遊ぶと想定し、誰でもわかるように話を簡単にしつつ、かつ考察してみるとさらに楽しめるように工夫しました。

「DNAを抜き取り、合成することで新しい生命を生み出す」というアイデアはどこから生まれたのでしょうか?ついついコンプリートすることに夢中になって、あっという間に時間が過ぎていく箇所でした。

しんいち

製作当初は生物を創るゲームを想定していたので、そこからの派生で生まれました。生物を創りやすくする為に生物ツリーを作ってみたんですが、それがコンプリート欲を出しているのかもしれません。

生物ツリー。進化の過程によって枝分かれしていく

プレイヤーから支援という形の「優しさ」をもらう

作中、背景の時間が経過するのがとても印象的でした。ルックの面で特にこだわられた点がありましたらお教えください。

しんいち

ドット絵はグラフィック担当のハフハフ・おでーん氏がすべて作ったので、私はプログラムで制御する『水面』『空』『奥行き』『空の空気感』『時間経過での世界の色・明るさ』など一つの世界として楽しめるように頑張りました。『世界』は、このゲームにおいて私が絶対に譲れないものです。

左から椎葉さん、しんいちさん、ハフハフ・おでーんさん

なぜ完全無料で製作者への支援のみという形にされたのでしょうか?

しんいち

理由は複数あります。単純に、たくさんの人に遊んで欲しかったのが一つ。二つ目は無料、広告なしによるインパクトの狙い。最後に、うまくいけば寄付でもやっていけるんじゃないかという希望を持って無料にしました。

今は有料のアプリでも、”儲け”を出すのは大変なことです。開発者個人のファンが多かったり、ゲームのクオリティが高いなど、様々なハードルがある。それなら無料+寄付の方が私とユーザー双方にメリットがあるのではないかと思い、このようにしました。

このゲームは『優しい世界』をテーマに創っています。ゲームの世界感での優しさというものを、私からは無料(広告なし)でプレイヤーへ優しさを、そしてプレイヤーからは支援という形の優しさを頂けたら完成するゲームと考えています。

開発にUnityを選んだ理由をお教えください。

しんいち

Unityの使用歴は約2年です。Unityを選んだのは、Unity Asset Storeがあるから、Unityの2D機能が豊富になったからというのが大きな理由です。Unity Asset Store
で楽ができる、シェーダーが簡単に使えるなどいろいろな恩恵がありました。4、5年前にUnityで一度アプリを作ったのですが、その時は2D機能が貧弱だったのでそれからは使っていなかったんです。ですので、『World for Two』から触りはじめたと言っても過言ではありません。最初は2Dドット絵ゲームのお作法がわからず苦労しました。

2Dゲームを作られている方へのアドバイスやTipsなどがありましたらお教えください

しんいち

Unity Asset Storeの『Pro Camera 2D』は必須です。また、なるべくUnityの標準機能で作ったほうがあとあと楽ですよ。

『World for Two』はiOS/Androidで配信中。この完成された作品世界に胸を打たれた方は、”優しさの循環”としてApp内支援を行ってみてはいかがだろうか。

『World for Two』


World for Two

Seventh rank
  • カジュアル
  • アドベンチャー
  • ナラティブ

プラットフォーム

  • iOS
  • Android

言語

  • 日本語
  • appstore
  • googleplay

GAME ゲーム

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