2018.05.02
絵本について
重光 あさみ
サリーの法則
Polaris-X

なぜ絵本を作ることになったのか

サリーの法則はゲームをプレイしながら、少女サリーと父親の物語を読み進めていく横スクロールのアクションパズルゲームです。今回Nintendo Switchの移植にするにあたり、スマホ版では描かれなかったサリーの法則の世界観をより膨らませるものにしようという制作方針から、オープニング・エンディング・エンドロールを作ることになりました。

この作品は父と娘の二人の物語を描くことで「家族の思い」に心を動かされる作品で、そこを軸に大切に制作したいと思っていました。サリーはこのゲームの物語が終わったあと、父親のことをどんな風に思っただろう、そこに一歩踏み込むことで、サリーとその家族間の想いをより深められる表現になると感じました。
スマホ版のサリーの法則では、ゲーム内のストーリーで、サリーは「絵本作家を夢見る少女」として描かれています。そこでサリーの世界観を深めるものとして、サリーが将来作りたかった「絵本」というキーワードが出てきました。

「ゲーム×絵本」

大人になったサリーを表現する要素として「将来サリーが絵本作家になって書いた絵本」というのをこのゲームの何処かで出したいという思いは制作のかなり最初の段階でありました。
Nintendo Switchは家族向けのゲームということもあり、普段ゲームにあまり接していない方々に「ゲーム×絵本」でサリーの法則を知ってもらいたいと思いました。
絵本という普遍的な表現方法をつかって、多くの人に「サリーの法則」が描く普遍的なテーマと、それをゲームで表現するという意外性に興味をもってもらえたらと。
最初の話し合いの段階では、エンドロールは制作中のイメージラフやコンセプトアートを使用しようという話もあったのですが、やっぱりこのゲームの家族の物語に浸ってもらえるものにしたい!との思いから、将来サリーが絵本作家になって作った絵本を使ったエンドロールにすることになりました。
実際のエンドロールはその完成系の絵本の半分くらいのイラスト枚数になっています。
見てくださっているプレイヤーの方に、サリーの幼少期の物語としても感じてもらえたらなと思っています。

絵本のコンセプト

絵本の内容についての試行錯誤

まずサリーが大人になったらどんな物語を描くだろう?というところから考えて行きました。
サリーの「法則」は、ゲーム内では「どんなことが起きてもへっちゃら、わたしには何のトラブルも起きない」というような意味合いで捉えることができます。そしてそんなサリーが怪我ひとつなく歩んでいていけるのは、じつは父親がサリーを見守って助けていてくれた…とは気づいていないんです。「私は幸運の女神に愛された子」というサリーのセリフがそれを象徴しています。

サリーの父親への気持ちが物語を進むに連れて変化して行きますし、サリーは少しずつ大人になりながら、家族が自分を見守っていてくれていたことや愛されていたことに気づくのかなと思いました。小さなときには気づいていなかった愛情や大切なものが大人になって沢山見えてくる。そんな大人になっていろんなことを経験したサリーが一体どんな絵本を作るのだろう?両親のことについて改めて思い、サリーも母親になっていたらどんなことを思うだろう?と考えました。

最初の段階では、サリーが街を歩いていて、水たまりが跳ねたり、犬に追いかけられたり…そんなトラブルは起きても、サリーは無事に過ごしており、それはお父さんが実は裏でこっそり助けてくれていたというものだったんです。物語後半、サリーがとても大切にしている「お母さんが作ってくれた帽子」を無くしちゃうけど、それも最後お父さんがちゃんと見つけてきてくれて、お父さんはいつだってサリーを見守ってくれている大切なパパという物語でした。
ただもっと親が子に読んであげれられる楽しい絵本にしたいという想いがありました。ゲームの内容を汲み取るだけでなく、絵本として親子が読んで楽しく、且つサリーを表現すること。内容を説明的にするわけではなく、もっとサリーという女の子視点で「家族」を描けるよりやわからかい表現ができたらと思い、アイデアを何度も練り直しました。

ストーリー

サリーの探検

主人公は元気一杯の女の子のである幼い頃のサリー。
サリーがお母さんから聞いた噂話から始まるストーリーです。

「わたし しってるの!
 まぁるいもの には はっぴぃが つまってる
 ママが いってたわ!」

「いっぱい まぁるいもの をみつけて ママにおしえてあげよっと!」

サリーはまぁるい望遠鏡を持ってひとりで家を飛び出し、サリーの探検が始まります。
サリーはいろんな「まぁるい」を探すために望遠鏡を覗き込みます。

「みっけ! これなぁに?」

「てんとう虫さんだ!」

このようにサリーはどんどん「まぁるい」ものを次から次へと望遠鏡を覗いて見つけて行きます。
絵本はサリーの「まぁるいもの」探しをする、とある1日のお話です。

親が読んであげたいと思える絵本にしたいという思いから、ページをめくる楽しさのあるテンポのいい絵本にしようと思いました。言葉もできるだけ少なくなるように意識をしました。作中ではお父さんとサリーの関係がメインではありますが、絵本では「家族」というものをテーマにしたかったので、お母さんという存在も欠かせません。

アイデアの着想について

サリーと言えばあの「まぁるいお家」「まぁるいサリー」「まぁるいパパ」。
サリーの法則の生みの親であるNANALI sutudios のデザイナーさんのコンセプトアートを見せていただいたのですが「まる」というものを非常に大切に作られています。ゲーム中のステージ背景やアイテムも、最初は尖った直線的なものが多いですが、ふたりの関係が物語を進むに連れて、それも少しずつ変化して行きます。

家族の関係性自体を「まる」で可愛らしくそしてあたたかく表現されているなぁと。サリーにとって家や家族は「まる」で表現したいという思いから、今回の絵本の発想に至りました。
絵本に何度も登場する、覗き込んだ望遠鏡の丸には、答えとなる「まぁるいもの の一部」が描きだされています。
絵本のページをめくるたび、「みっけ! これなぁに?」と親子が一緒にまぁるいものの答えを考えながら楽しんでもらえるようにと設計しています。
「まる」を象徴するものを「家族」として最後に落とし込みたかったので最後にサリーのまあるいお家でお話を締めくくります。
サリーや家族にとっての大切なものという表現に落とし込むために、小さい頃はわからないけど、今ならわかる気がする…と子供が読んでも楽しく、大人が読んだらまた別の見え方ができるようなものにしたかったので最後の落とし込みは望遠鏡から覗いたような丸く輝く家族の家で締めくくっています。

絵本をどのように書いたか

まず手書きでアイデアスケッチを描いた後に、iPadProとApplePencilを使い、ラフで一通りのページ構成を制作しました。

そのあとそれを印刷し、ページをめくっているイメージやページ枚数の把握のために、まず最初にデモ版の絵本を制作しました。どんなものと出会っていくかはチームメンバーとアイデアを出し合い、大きさの緩急をつけたり、目線の高さを変える工夫などをしています。

できるだけ手書き絵本のような質感にしたいと思い、イメージをつかむために初期のラフ画はアナログで描きました。

時間もなかったので、全てアナログで描くわけに行きません。だけどしっかり手書きの温かみを出したかったので、手書きのテクスチャーになるものをアナログで制作して取り込み、デジタルで書いた絵と合わせて行きアナログ感を出すように務めました。
アナログで描いたテクスチャーは色鉛筆から、アクリルガッシュ、水彩など様々です。場面の塗りの感じに合わせて様々なテクスチャーを使って描いています。

これからのこと

Game Developers Conference 2018にサリーの法則 for Nintendo Switchも出展を行いました。ゲームの試遊展示と一緒に絵本やコンセプトアート等の展示も行い他のブーストとはまた違った展開になっていました。絵本も試作品を作って、遊んで頂いた方にプレゼントしていたのですがそちらもとても喜んでいただけました。
Polaris-x代表住田の台湾の知り合いが絵本のクラウドファンディングのサービスをされており、今回のプロジェクトに非常に興味をもっていただけました。まずはそのパートナー様と組んで台湾でテストマーケティングを始めてみようという話になっています。絵本の制作はその台湾のパートナーさんに製本をお願いする予定です。海外展開も視野にいれた第一歩を、まずは台湾から始めたいと思っております。将来的には本当に国内外の本屋さんに並ぶような絵本にしていきたいなと思っています。

プロフィール

重光 あさみ

映像作家・イラストレーター。平成元年生まれ。京都精華大学デザイン学部卒業後、フリーランスでPV・MVのディレクションやカメラマンとして活躍。2017年からroom6デザイナーとして参加。「サリーの法則 for Nintendo Switch」の開発に携わり、現在もNintendo Switch移植タイトル「アビスリウム」の制作中。

サリーの法則

Polaris-X
  • アドベンチャー
  • パズル

パブリッシャー

POLARIS-X

プラットフォーム

  • iOS
  • Android

言語

  • 日本語
  • 英語
  • 中国語
  • 韓国語
  • appstore
  • googleplay
  • steam
  • nintendoeshop

GAME ゲーム

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