300作品以上がエントリー!Unity 1週間ゲームジャム2020.03 注目作品ピックアップ!

2020年もやってきたUnity1週間ゲームジャム!2020年2月~3月のお題は「逆」

ゲームジャムはインディゲームの盛り上がりと切っても切れないものである。今日、多くのインディゲームが発売されているが、その中にはゲームジャムで作ったプロダクトから製品化させたものや、ゲームジャムをきっかけに生まれたディベロッパーの作品というものも数多く存在する。ゲームジャムはインディゲームシーンにおいて、非常に重要な文化へと成長したと言っていいだろう。

さて、そんなゲームジャムだが当然日本でも数多く行われている。その中でも注目度の高いイベントがUnity1週間ゲームジャムだ。2017年4月から定期的に開催されており、Unityを用いて作るというルール以外設けられておらず、だれでも気軽に参加できる。期限が過ぎても未完成でも大丈夫という懐の深いイベントである。Unityでゲームを作ることを楽しもう。気軽で楽しいUnityのお祭りなのだ。(主催者のnaichiさんに聞く開催のきっかけはこちらの記事にて)

2020年2月~3月のUnity1週間ゲームジャムも多くの参加者とゲームで盛り上がった

さて、2020年2月24日~2020年3月8日までUnity1週間ゲームジャムの第14回「テーマ:逆」が開催されている。1週間なのに2週の期間があるのは、はじめの1週間はゲームを作る製作期間、残りの1週間は参加者やその他のプレイヤーで作られたゲームを評価し投票を行う評価期間となっているからだ。そう、まさしくは今こそが今回作られた情熱あふれる作品を評価できる貴重な機会なのだ。

Unity1週間ゲームジャムというイベントをはじめて知った方も多いことだろう。この機会にぜひこのイベントに触れてほしい。ということでこの記事では、ゲームライターである私が今回のUnity1週間ゲームジャムで制作されたゲームの中から、注目してほしい作品をを紹介し本イベントを盛り上げる一助となりたい。

丸ダイス・フチヌロー・Puzzler.K『さかだちの街』

「逆」というテーマは非常に広く、作者によってさまざまな解釈が生まれる。たとえば、画面を逆さまにする、重力を逆さまにするという見た目そのままを逆にする作品が今回のUnity1週間ゲームジャムでは多く見られた。こうしたギミックは2Dジャンプアクションやパズルゲームに多く用いられているため、発想を実際のゲームに落とし込みやすかったのだろう。だが、2Dアクションやパズルはステージ数が楽しさに直結してくる。これを一週間という短い製作期間で制作するというのは、なかなか大変である。

さて、そうした作品の中で今回注目してほしいのが丸ダイスさん、フチヌローさん、Puzzler.Kさんのお三方で開発された『さかだちの街』だ。

プレイヤーは主人公である女の子を操作して、彼女を目的地まで導いていく。当然、道中にはいくつものステージがあり、ここに待ち受けるパズルを解かなくては目的地にはたどり着けない。女の子は左右移動、ジャンプ、箱を押すというよくあるアクションに加えて、逆立ちをすることができる。彼女が逆立ちすると、なんと世界の重力は彼女の視界に従い逆転してしまう。さらに、画面反転ボタンを組み合わせると、逆立ちが天井に捕まった状態に変化する。これら逆転を組み合わせ、パズルを解いていくというわけだ。

驚くことに本作は1週間という短い期間の間に30のステージを用意しており、1時間は遊べるであろうボリュームを有している。グラフィックやUIもしっかりしており、軽いストーリーやそれに伴った演出シーンも用意されている。驚くべき作り込みだ。おそらくはきっちりと役割分担をしてこその作り込みであろう。

このゲーム以外にもグループ制作の作品はたくさんアップされている。もちろんひとりにはひとりの、グループにはグループの難しさがある。こうした部分にもぜひ注目してほしい。

作品はこちらからプレイ!→ Unityroom『さかだちの街』
開発である丸ダイスさんのTwitter→ @dice_maru
開発であるフチヌローさんのTwitter→ @futinuro
開発であるPuzzler.KさんのTwitter→ @k_puzzler

工十十『だるまのぼり』

今回のUnity1週間ゲームジャムではさまざまなものが逆にされているわけだが、なにも画面に映るものをひっくり返すだけが逆ではない。ゲームのルールを逆にするというのも今回目立った手法だろう。1週間という短い製作期間において、有名なゲームを題材に据えることはこれまでのUnity1週間ゲームジャムをみても定石である。

工十十(くとど)さんの開発した『だるまのぼり』もまさしくそうした、既存のゲームのルールを逆転させた作品だ。主人公はだるま落としのだるま。いつも背を低くされてばかりの彼だが、あるとき誰にも崩されない美しい高さへ至りたいと考えた。プレイヤーはだるまを操作し、いつもとは逆にどんどん積み木を積み上げていく。

制限時間以内にどれだけ高く、そして美しく積み上げられるかで評価ポイントが加算され、それがスコアとなる。もちろん、闇雲に積み上げていれば崩れてしまう。3秒間のきっちり高さを保つ、崩れぬタワーを作り上げなければならない。

影を参考にできるので位置をしっかり合わせること自体は難しくない、だが新しい積み木を拾うタイミングで積み上げたタワーが勢いに負けてバランスを崩したり、移動の慣性でずれてしまったり、なかなか思うようにいかない作りになっている。それゆえきっちり積み上げられたときはけっこううれしい。前人未到のだるまタワーを作り出し、おともだちに自慢してやろう。

作品はこちらからプレイ!→ Unityroom『だるまのぼり』
開発である工十十さんのTwitter→ @kutodo1

ダイゴ・だー1・とみ『10ターン後に死ぬ勇者~魔王様はギリギリの戦いをお望みのようです~』

ゲームのルールを逆にするという作品もあれば、ゲームの敵側・標的側を逆に主役に据えた作品もある。これも今回目立った手法だろう。

ダイゴさん、だー1さん、とみさんが開発された『10ターン後に死ぬ勇者~魔王様はギリギリの戦いをお望みのようです~』は、こうしたゲームの主役を逆転させた作品だ。

プレイヤーは世界を征服せんとする魔王である。これまで何度も勇者を返り討ちにしてきた魔王だが、何度も勇者を倒しすぎてしまい戦いに緊張感を感じられなくなってしまった。ああ。ギリギリの死闘を繰り広げた末に勇者を倒したいなあ……。

このゲームでは魔王と勇者パーティとのコマンドバトルが繰り広げられる。プレーヤーである魔王は最強だ。なんと10ターン経過するだけで最強の攻撃を放ち、勇者パーティを一撃で全滅させることができる、普通にやれば負けることはないだろう。だが、それでは魔王の心は満たされない!そう。このゲームは10ターンの間にどれだけダメージを食らってギリギリの残量で生き残れるかというチキンレーススコアアタックゲームなのである!魔王、舐めプレイがすぎる。

スコア(より低いHPでの勝利)を狙い始めると、とたんに難しいゲームとなる。だが、難しいからこそ頭をひねる楽しさがあるというものだ。限界ギリギリの死闘をぜひ、自らの手で演出してほしい。

余談だが、○日後に死ぬ誰かとか、盾や槍なんかの勇者とか、ちょいちょいパロディが入ってるのもインターネットイベントならではの作品という感じがする。好き嫌いの分かれる部分だろうが、こうしたパロディには時流が反映されるので注目してほしい。

作品はこちらからプレイ!→ Unityroom『10ターン後に死ぬ勇者~魔王様はギリギリの戦いをお望みのようです~』
開発であるダイゴさんのTwitter→ @daigo_h3
開発であるだー1さんのTwitter→ @da_itch
開発であるとみさんのTwitter→ @ys_tomy

ヒガタ『雄逆生~SALMON RUNUP』

これまで紹介した作品もそうであったように、テーマがある以上題材やモチーフがかぶってしまうことは避けられない。今回もじゃんけんや逆算など人気の題材がいくつかあった。もちろんこれは悪いことではない。むしろ、同じ題材をいかに料理したのか?その違いを楽しめるのだ。また、世の中の流行などもこれに加わり、イベントとしての楽しさが上がってくる。

そして、中には「え!?それがかぶるの!?」という題材もまた登場する。これもまたおもしろい。例えば、今回のUnity1週間ゲームジャムではなんと「鮭の遡上」をテーマにしたゲームが記事執筆時点で3本も投稿されている。サーモンは大人気コンテンツだった?

今回はその中からひとつ、ヒガタさんの開発した『雄逆生~SALMON RUNUP』を取り上げよう。20XX年、鮭は絶滅の危機に瀕していた。最後の雄鮭となったプレイヤーは、これまで多くの同胞がそうしてきたように、自らの命をかけた繁殖へと臨む。

しかし、プレイヤーが遡上する川には危険が潜む。まず逆流している川の流れに飲まれ、画面外に流されれば死ぬ。この厳しい激流で生き残るためには、雄力が重要だ。雄力を消耗し強い力で泳げば流されることはない。そして、川底に産み落とされた卵に精子を放ち子孫を増やすのだ。もちろん、精を放っても雄力は低下する。だって雄力だもの。雄力は時間と小魚を食べることで回復する。

作品はこちらからプレイ!→ Unityroom『雄逆生~SALMON RUNUP』
開発であるヒガタさんのTwitter→ @higat_00

パルディ博士の助手RDAG・網野環『USBめっちゃ挿す』

テーマからさまざまな流れが産まれ、その差を楽しむのもゲームジャムの醍醐味だと説明してきた。が、やはり中には他にない独創的なアイデアでテーマを解釈・利用したゲームも登場する。その手があったか!そんなアイデアが!こうした感動もまたゲームジャムの面白さだろう。

RDAGさん、網野環さんの開発した『USBめっちゃ挿す』はまさにその手があったか!というすばらしいアイデアを形にしたゲームである。

このゲームで、プレイヤーはタイトルが示すとおり、とにかくUSB端子にUSBメモリをめっちゃ挿し込んでいく。制限時間以内にどれだけ多くのUSBメモリを挿せたかがスコアとなる。だが、ここには罠がある。誰しも経験したことがあるであろうUSB端子にUSB機器・ケーブルが刺さらないアレだ。

逆じゃん!入らない!何度心のなかで叫んだかわからないあの苦い経験がこのゲームで再現されている。USB端子の裏表をきっちりあわせなければ、当然刺さらず時間のロスとなる。加えてUSB端子はUSB端子でも、USB-C端子も登場する。どうあっても差し込めないUSB-C端子は華麗にパスせねばならない。

いかにすばやくUSB端子の裏表を揃えられるか?なんだか実生活でもめちゃくちゃ有用そうなテクニックが試される。リプレイ性を意識したカジュアルゲームとしてしっかり作り込まれた印象がある。USBを正しく挿し込まさせたら右に出る者はいないと、常日頃思っていた方はぜひともプレイしてほしい。

作品はこちらからプレイ!→ Unityroom『USBめっちゃ挿す』
開発であるパルディ博士の助手RDAGさんのTwitter→ @paldynojosh
開発である網野環さんのTwitter→ @alt_pk2

ゲームを遊んで評価して、イベントに参加しよう!

5作紹介させていただいたが、もちろん紹介しきれなかった素晴らしいゲームは他にもある。今回も300作品を超す盛況ぶりだ。あなたの気に入る作品もきっとあるに違いない。ギリギリではあるものの、まだまだ評価期間中の第14回Unity1週間ゲームジャムだ。まだまだこのイベントにプレイヤーとして参加可能なのだ。ぜひとも多くの方にこれら作品に触れ、イベントを盛り上げてほしい。評価やコメントもどしどしお願いしたい。きっと、面白かったですの一言が今後のこのイベントをより盛り上げることになるのだから。

「Unity1Week」とは?

定期的に開かれる、一週間でゲームを作るイベントです。
月曜00時にお題が発表され、日曜20時までにお題に沿ったゲームを作ります。
期間中に投稿されたゲームはunityroomに投稿され、日曜20時に一斉公開されます。
ハッシュタグは #unity1week です。
みんなでゲーム作りを楽しみましょう!

公式サイト

洋ナシ - 2020年3月6日