ゲームづくりは青春だ!Unityインターハイ2018

ゲームづくりは青春だ!Unityインターハイ2018

2018年10月21日(日)、日本科学未来館にて「Unityインターハイ2018」本戦のプレゼン発表会が開催された。「Unityインターハイ」とは、全国の高校生や高専生、および小・中学生によるUnityを使ったオリジナルゲームのコンペティション。今年は全国から104組の応募があり、その中から選びぬかれた12組が本戦に出場。優勝・準優勝・ゴールドアワードを狙い、開発者自身によるプレゼンテーションが行われた。

今年本戦に出場したのは、高校生8組、中学生3組、そして小学生1組。それぞれ自由な発想で作られた、楽しいゲームが揃った。

優勝は徳島市立高校


見事優勝を勝ち取ったのは、徳島県/徳島市立高校のチーム「電子計算機部長」が手がける『モチ上ガール』!「電子計算機部長」は、部長の渡邉大誠 (18)さんが率いる、昨年準優勝した実力派のチーム。『モチ上ガール』は、ボタン一つとジョイスティック一つだけを使ってプレイできる、爽快感たっぷりのアクションゲーム。ボタン一つで多彩なアクションができるのが特徴だ。主人公は手から自在に伸びるモチを出し、壁にくっつけたり、敵を倒すなどして前に進んでいく。

渡邉さんは「アクションゲームが得意じゃない、ゲームに慣れていない人も楽しめること」を意識してゲームを開発。ボタン一つで何でもできるというシンプルな操作性は『Downwell』からインスピレーションを得た。

背景のテクスチャは徳島で撮影したもの、モチのひっつく音は濡れたタオルの音を録音して加工、エフェクトやパーティクルも自作。「遊んでいる人も、後ろで見ている人も楽しめる」ゲームを目指した。テストプレイを何度も行い、「爽快感」にフォーカスしていったという。

準優勝は小学生!

準優勝は京都府/岩倉南小学校のチーム「Sai」こと宮城采生 (10)さんが開発した『オシマル』。象や豚など、大きさや押すパワーの異なる4種類の動物ブロックを配置し、先に敵陣に3個のブロックを到達させたほうが勝者となるCPUを相手にした”押し相撲”パズルゲーム。ゲームデザインからプログラミング、サウンドまで独力で制作という恐るべき10歳!

宮城さんのUnity歴は1年と少し。たくさんのオブジェクトを制御するのに骨が折れたと語った。一人で作り上げたが、テストプレイには家族や友人にも協力してもらったという。

ゴールドアワード

続いては、次点となるゴールドアワード作品をご紹介!

一人で一年かけて作り上げた『るなてぃっくあどべんちゃ~!』

まずは東京都/芝浦工業大学附属高校のチーム「Hidetyo’s App」こと藤澤秀彦 (15)さんが開発した『るなてぃっくあどべんちゃ~!』。昨年もゴールドアワードを受賞した開発者だ。『るなてぃっくあどべんちゃ~!』はうさぎの男の子・ルナと謎の妖精・マロンが主人公の、やさしい世界観が特徴のアドベンチャーゲーム。一人で一年かけて作り上げた力作。クラウドストレージにデータを入れることで、空き時間に制作を進めた。総プレイ時間は3時間ほど。

壮大な世界観が特徴で、行動範囲は広く、海や滝のある地方があり、雲の上などにもいける。昼と夜で各地方の雰囲気が変わってくるのもポイントだ。お店もあり、「うさコイン」を使ってお買い物も可能。コスチュームを買って着せ替えしたり、自宅にお土産を飾ることもできる。2018年11月3日に配信予定。

ステージの自動生成を高度な計算で実現した『PERVERSE』


同じくゴールドアワードを受賞した、東京都/渋谷教育学園渋谷高校のチーム「Penta」こと浅野啓 (16)さん、田村来希 (16)さんが開発した『PERVERSE』。ステージの自動生成を高度な計算で実現しているパズルゲーム。ステージは深さ優先探索を使い、すべて自動生成した。

二色のキューブを操りゴールに持っていくことが目的だが、水色のキューブはフリックしたほうに、紫は逆に進むので、頭を柔らかくすることが要求される。フラットデザインでスタイリッシュな雰囲気なのも評価されたところ。

ロボットゲームならではの雰囲気が味わえる『Fragments』


こちらもゴールドアワード受賞作品。奈良県/一条高校のチーム「IPC」こと伊藤圭二郎 (17)さん、小西将玄 (17)さんが開発した『Fragments』。有人古代兵器“ヴェントラム”を駆り、敵と戦う3Dシューティングゲーム。敵を倒すことで得られる「フラグメンツ」を使って武器の作成ができるほか、特殊な攻撃スキルを発動することができる。

舞台は人類が壊滅した未来の地球。戦闘ポッドを殲滅するのがこのゲームの目的だ。キャラクターデザインは見てワクワクするものを目指した。デザインもUIも自分たちで作っており、多様な攻略法で何度も遊べるようにした。光の演出にはPost Processing Stackを使っている。

審査員特別賞

審査員特別賞は2作品。

敵をズバズバ斬る『おてんば少女と学校の迷宮』


岐阜県/岩野田中学校のチーム「プラムくん」こと梅村時空 (15)さんが開発した『おてんば少女と学校の迷宮』は、爽快感があるスタイリッシュアクションゲーム。忘れ物をとりにきた少女が学校の迷宮に迷い込み、日本刀を拾って、現れるバケモノを退治していく3Dアクションゲーム。

弾幕を避けながら、ズバズバと斬る感触が気持ちいいゲーム。ゆるやかな探索シーンと激しい戦闘シーンという、静と動のメリハリを大切にした。友達が書いた原案をもとに一人で制作し、小学4年生から開発を始め、5年間作り続けてきたという。

キャンディをコントロールする『DROPS』

北海道/函館ラ・サール高校のチーム「KatS」こと松田活 (16)さんが開発した『DROPS』。マップを傾けながら、特定のキャンディを落としていくパズルゲーム。黒以外のキャンディを落とすとクリアになる。キャンディが触れるとジャンプするジャンプ台や、キャンディを邪魔する砂のような物体など、ステージを進むと様々なギミックが出現。うまくバランスを取ってキャンディをコントロールするのが攻略のコツだ。今後はステージを大量追加し、年内を目処にリリース予定で開発を進めているという。デジタルだが、アナログが質感があるのが面白い。

シルバーアワード

「磁石×忍者」ゲーム『Magnet ninja』

北海道/函館ラ・サール中学校のチーム「Done」こと川瀬隼 (14)さんが開発した「磁石×忍者」ゲーム『Magnet ninja』。磁力を持つ忍者を操り、磁石同士の引き合う力・離れる力を利用してステージを進んでいく2Dアクションゲーム。8bitな雰囲気がキュートだ。

磁力で壁や天井にくっつくことができる仕掛けを思いついたのは、アクションゲームでは壁を走れないことから。「忍者は世界的に人気があるから外国の人にも親しみやすい」ということでモチーフを忍者にした。テンポの良い直感的なゲーム性を心がけている。

冒険シミュレーションRPG『ファエルと虹の木』

神奈川県/中沢中学校のチーム「Twinkle」こと高木唯衣 (14)さんが開発した『ファエルと虹の木』。優しい世界観の冒険シミュレーションRPG。バトルシーンでは盤上のモンスターを操作し、相手のモンスターと戦う。

世界観の統一と、リアルタイムの戦闘システムが苦労したところ。デザイン・プログラム・サウンドなど、全て一人で制作した。背景が重くなるので、ムービーを撮影して背景に取りこんでいるという。

3つの世界を探索する『Lost.com』


神奈川県/神奈川総合高校のチーム「空想探求」こと合田晴哉 (16)さんが開発した『Lost.com』。現実世界・夢世界・電脳世界の3つの世界を切り替えながら探索し、謎を解き明かしていくアドベンチャーゲーム。プレイヤーの意思がクリアに結びついていき、マルチエンドのように結末が複数ある。テキストによってプレイヤーを導いていくゲームだが、特に『マザー2』に影響を受けたという。

人類が消えた世界を舞台にした『ERASE』

沖縄県/沖縄高専のチーム「EraseProject」こと高良昇吾 (17)さん、美里幸輝 (18)さん、宮城翔 (18)さんら総勢5名が開発したゲーム『ERASE』。人類が消えた世界を舞台に、ステージ上の障害物を消しながら進んでいく横スクロールアクションゲーム。障害物を消すことでステージの仕掛けを発動させる必要があり、知的なセンスが要求される。アクション要素を強化し、達成感と爽快感を味わってもらえるように工夫しているという。

初めてのゲーム制作にチャレンジした『Asterian』


兵庫県/神戸市立科学技術高校のチーム「Asterian制作委員会」こと西岡明矢斗 (16)さん、宮崎章太 (16)さん、岡本悠吾 (16)さんら3人で開発したゲーム『Asterian』。宇宙飛行士となって惑星のまわりに浮かぶ星を集め、惑星を周回する衛星に集めた星をぶつけていくゲーム。初めてのゲーム制作にチャレンジした作品で本戦出場となった。グラフィックにはこだわりがあり、どの星も個性があってミニチュアのように精巧なデザインになっている。

総評

審査員のユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社 プロダクト・エヴァンジェリスト、簗瀬洋平さんは「Unityインターハイはすごい勢いでレベルが上がっており、なかでも優勝・準優勝のクオリティは群を抜いていました。何も見なくてもちゃんと遊べる、遊び続けられるゲームが作れるということはスゴイことです。小中高生がたった一人で、半年間で、「誰もがずっと遊び続けたいゲーム」を作れる時代になったのだと思います。Unityインターハイのいいところは、純粋に”面白いもの”を作った人を褒めるところです」と講評を行いました。

Unityインターハイは来年も開催予定!ぜひ小中高生、高専生の皆さんはエントリーしてみてください!

Unityインターハイ2018

日程:2018年10月21日(日)
開催場所:日本科学未来館
公式WEB:https://inter-high.unity3d.jp/

齋藤 あきこ - 2018年11月13日