2018.04.24
Welcome to the another “TGS”
一條 貴彰
Back in 199564
Throw the warped code out

やあ、僕の名前はIchijo。『Back in 1995』というヘンなゲームを自作して、配信しているインディーゲームクリエイターだ。

つい先月、Newニンテンドー3DSバージョンを配信したばかり! 移植は大変なプロジェクトだったけど、この話は別の機会に。

みんなはTGS知ってるよね?
そうだ、「東京ゲームショウ」だ。ただしTGSは一つじゃない。今回この記事で紹介するのは台湾で開催された「Taipei Game Show」についてだ。

Why Taipei?

ゲーマーは世界中にいる。日本からそう遠くない台湾にも、勿論たくさんのゲーマーがいる。ちょっと前から開発者仲間から、「台北ゲームショウにはインディーゲームコーナーがある」「出展してきたけどとても良かった」という情報を仕入れていた。そして、それは突然やってきた…Taipei Game Showを主催するTCAから、招待のメールが来たんだ!

Taipei Game Show 2018は、1月末に開催された。そのとき『Back in 1995』は発売からすでに2年経ってたから、正直ここで売り上げが大きく上がることは期待していなかった。ただ、海外の展示会に出展するというのがどんなものか知りたかった。その目論見は、まぁまぁ達成されたと思う。

至れり尽くせり

Taipei Game Showのインディーゲームコーナーは、まず出展費用が無料だ。そしてなんと、ホテルも会場が用意してくれる。(ちょっと遠いけど)。

出展時には補償金を200ドルほど払う必要があるけれど、それも最終日に返却される。つまり、出費としては中国語に翻訳したポスターとチラシの費用と、飛行機代程度しかかからないということだ。これは出展しない手がない。

インディーコーナーは2種類ある。まずビジネスデー(B2B)のIndie Games Festa。それから一般デー(B2C)のIndie Houseだ。海外からの出展枠で示されるのは、B2Bデーのみか、B2Cを含めた5日間すべての出展をするか、どちらかだった。

B2Bデー向けのブースはおそらく200枠ほどあり、最終的な出展数は170チームほどだったから、かなりの人が当選したと思う。日本からは20チームほどが参加していた。

逆に、Indie Houseは狭き門で、中国・韓国とおなじエリアに配置され、40チームぐらいの選抜だ。僕はもともと「この枠には通らないだろう」と申し込んでいなかったんだけれど、開催2か月前になって「枠に少し空きができた」という連絡が来て、急きょ出展となった。そのかわり、3日間の観光の計画はすべてパーになったけれどね。

出展者は、2日目にある公式パーティ「TGS Night」に無料で参加できる。偶然、前日が僕の誕生日だったから、会う人会う人におめでとうと言ってもらえたし、一生の中で一番カールスバーグを開けたかもしれない。本数は全く覚えてない!ただ翌日も展示会にちゃんと出席できたことは誇りたい。

TGSParty

1日目―2日目「Indie Game Festa」

Indie Game FestaはTaipei Game Showのなかでもビジネスデーのため、比較的ゆったりとした雰囲気である。

IndieGameFestaブース

ブースはとても広い会議室のような場所で展開される。
感心したのはビジネスエリアの構造だ。ゲーム向けのツールやサーバー、広告、パブリッシャーなどのサービス系企業は壁沿いに並んでおり、中央にインディーゲームクリエイターのブースが固まっている。

IndieGameFestaFloorPlan

ビジネス目的で会場を訪れた人が、自然とインディーの展示が目に入るようになっている。台北ではインディーゲーム文化がしっかりゲーム産業の中に位置づけられている実感があった。

実際、僕のブースでもメディアの他、マーケティング会社やパブリッシャー、翻訳会社、そして投資会社などさまざまな客層が訪れた。この先のタイトル開発に向けて、もしかするとパートナーになれるかもしれないと思った会社もいくつか出会うことができた。

日本で展示会に出展すると、ソーシャルゲーム開発会社や人材屋がやってきては「うちで働きませんか」とトンチンカンなことを言ってきては追い返しているのだが、台北ではそういった不快なことは起きなかった。訪れるビジネス目的の人たちは、インディーが何を求めていて、何を目指しているのかよく理解されていた。

3日目―5日目「Indie House」

ゆったりとした2日間が終わった後は一般デーの出展だ。
一般デーはものすごい人の量で、巨大なメーカーのブースには全く立ち寄れないほどだ。日本企業の出展も多く、たくさんの現地ゲームファンがグッズを買ったり、展示された最新のタイトルを楽しんでいた。

一般デーの様子

IndieHouseブースは大企業のブースと同じフロアの片隅に設置されていたので、そこから流れてきた人々が自然に立ち寄れる好立地であった。

これが僕のブースだ。IndieHouseの審査に通った場合の特典として、データさえ渡せば大きなパネルを無料で作ってくれるというものがある。Indie Game Festaではポスター印刷をして自分で貼り付けたのだが、こちらはすでに組みあがった状態であった。なんとありがたいことか。印刷品質も十分である。

IndieHouseブース

チーム当たりのブースの面積は、昨年は半分ほどだったらしい。Indie Houseは、世界中のインディーゲームクリエイターから選抜されたタイトルが展示されるが、エリアは大きく4つに分けられれる。地元台北用、VR用、北米欧州用、その他アジア用だ。どうやらこのアジア用スペースが少し余ったらしいというのが、今回僕のゲームが採択された理由だと思う。

IndieHouseFloorPlan

さて、ここでの展示で感じたことは、ビジネスデーと大きく違い英語が通じない人がほとんどであったことだ。逆に日本語が話せる、勉強中であるという若者とよく出会った。

ビジネスデーではポスターでは伝えきれなかったゲームのコンセプトについて英語で補足していたのだが、この場ではそうはいかなかったため、急きょ注意書きを書き足した。

注意書き

「このゲームは90年代のゲームプレイをコンセプトにしています、30歳以上のプレイヤーが楽しめるでしょう!」と書いてある。

Taipei Game Showでは日本語から中国語のゲーム翻訳を手掛ける人物と出会えたのだが、彼女にそのまま手伝ってもらったものだ。ありがたい!

ふだん国内の展示会で口頭で説明していることがあったら、あらかじめそれは中国語のスクリプトにして印刷してくる必要があるな、と学んだ。

IndieHouseの展示は3日間と長く、言葉の問題もあってかなり疲れたがよい経験になった。
台北のゲーマーはPCでゲームをすることに前向きで、Steamですぐ買ってくれた人もいた。

この場で知ったトリビアなのだが、台湾のゲームパットキーアサインは「決定」と「キャンセル」の配置は日本式が好まれるそうだ。「Back in 1995」は欧米向け市場を意識して、Xで決定・〇でキャンセルのキーアサインにしていたが、これを知って急きょその場で修正を行った。

台北向けにゲームを配信しようと考えている人は、この「決定」「キャンセル」ボタンの配置について入れ替えオプションを作ることをお勧めしたい。

台北の町は素敵

TCAが用意してくれたホテルは清潔で、アメニティも充実しており、六角形のソーセージを朝食に出す以外は不満が一切なかった。ホテルのある「西門」という街は、サブカルチャー感あふれる街だったから十分楽しめた。ローカルフードも最高だ。写真は台湾の一番有名なローカルフード、「滷肉飯」だ。

滷肉飯

台北は地下鉄網が発達しており、ちょうど日本のPASMOのようなカードが発行されている。旅行者はトークンを使った都度払いが多いらしいが、僕は1週間滞在したので、100TWDを払ってカードを購入した。毎朝8時に起きて10時の開場までに”通勤”した五日間は、とうの昔に忘れたサラリーマン時代のことを思い出させてくれた。

西門の公式キャラクター?

ところで、台湾の通貨はニュー台湾ドル(TWD)だが、実質は「元」だ。最初は通過表記が二種類あって混乱したのだが、特に問題なくどこでも紙幣と硬貨で買い物ができた。

台北は大変治安のいいところで、23時ぐらいになっていても外出してバーで飲んだりしていた(もちろん、暗い夜道のリスクはあるけれど)。参加する前は、一日展示をして夜になったらホテルに帰るだけの生活を覚悟していたが、おかげさまで毎日飲んだくれ! 開発者の仲間や現地の企業と食事に行ったのが半分、ローカルフードを楽しんだのが半分だ。

会食の画像

海外展示の第一歩にぜひ

こうして、大変密度の高い僕のTaipei Game Show出展は幕を閉じた。海外での展示会は、たくさんの学びを得ることができた。

台北では既にインディーゲームがしっかりとゲーム産業の一部として受け入れられており、業界団体側から厚く支援されていると感じた。小さなスタジオでも無料で招待され、ブースを提供してくれるのも、「すそ野を広げる、開発者にチャンスを与えてパイを広げる」という至極まっとうな戦略があるからだ。この視点は日本でもできる限り沢山の人に伝えていきたい。

そして海外に目を向ければ、僕のようなニッチなテーマで、しかもモバイル展開をせずコンソールに集中したスタジオでも、企業や団体から支援を得られるチャンスがあることもわかった。アクセラレーターやパブリッシャーも真摯に対応してくれたし、次回作に向けて自分の選択肢が大きく広がったことを感じた。

今後ほかの海外イベントにも足を延ばしていこうと思っているが、Taipei Game Showは日本に住むインディーゲームクリエイターにとって、海外への第一歩として最適だと思う。もちろん、費用を安く抑えられることも大きい。ポスターとチラシの印刷に100ドルほど、航空券は往復400ドルしなかった。LLCを使えばもっと早く行けるだろう。「Indie Games Festa」のみの出展プランは、手放しでお勧めできる。

僕は来年もどうにかして出展するつもりだ。すでに国内でいくつか展示会を経験しているならば、来年はぜひ一緒に台北の街で滷肉飯を食べ、「台湾ビール18DAYS」を飲もう。

ところで、保証金の話にちょっと秘密がある。保証金は申込時に、オンラインでPaypal等を使って支払う。そしてデポジットとして返してもらえるのだが、これが現金で渡されるのだ!

つまり、帰りにお土産などの購入に使ってねということである。実に巧妙だ。僕は嬉々として台湾ウイスキー「KAVALAN」を買って帰った。もう、完全に台湾が好きになってしまった。

KAVALAN

プロフィール

一條 貴彰

個人ゲーム作家。代表作は『Back in 1995』(Steam)。Newニンテンドー3DS™版『Back in 1995 64』開発中。インディーゲーム開発の他、小規模ゲーム開発者が活動を継続しやすい世の中作りのために複数社からGame DevRelの仕事を請け負う。現在はPlay,Doujin! ディレクターも務める。

Back in 199564

  • TPS
  • アクション
  • アドベンチャー
  • サバイバル
  • ホラー

パブリッシャー

メディアスケープ株式会社

プラットフォーム

  • Nintendo 3DS

言語

  • 日本語

WEB

  • nintendoeshop

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