『ACE OF SEAFOOD』のスマッシュヒットにより、ゲーム会社を退職して個人開発に専念するようになった大貫さん。
ミドルウェアの営業職から夢を追って独立した一條さん。
歩んできたキャリアは異なるものの、自分たちの好きなゲームを作って生きるために独立を選んだ二人。
彼らがいま、何を思うのか。非常にリラックスした雰囲気の中、思う存分に語ってもらいました。
(この対談は2017年1月に収録されたものです)
インタビュー: 池和田 有輔
大貫 真史
蟹や魚など海産物が戦うアクションゲームを個人で制作している人間。1人同人ゲームサークルNussoft代表。元ゲーム会社のプログラマーだったが、昨年末に退職し専業インディーゲーム開発者に。代表作は『ACE OF SEAFOOD』『NEO AQUARIUM -甲殻王-』など。最近ロードバイクを買った。
一條 貴彰
個人ゲーム作家。代表作は『Back in 1995』(Steam)。Newニンテンドー3DS™版『Back in 1995 64』開発中。インディーゲーム開発の他、小規模ゲーム開発者が活動を継続しやすい世の中作りのために複数社からGame DevRelの仕事を請け負う。現在はPlay,Doujin! ディレクターも務める。
池和田
さて、プロモーションについてですね。
大貫
『Ace of Seafood』以前のゲームですが、予約者に生の伊勢えびをプレゼントみたいなことをやって。
池和田
ええ!?
一條
抽選で一名みたいな?
大貫
みたいなこともやりましたし。
池和田
ある日突然クール宅急便で送られてくる、みたいな?(笑)
大貫
効果があるかと言われると、とても疑問なんですが(笑)。
一條
やっている側は絶対楽しいですけどね(笑)。
大貫
まあそういう小ネタよりも、Steamとか任天堂とかなるべく人口の多い土俵に乗るというのがまずは第一で、そこを見た人に、なるべくフックになるような素材を用意しておくっていうのが一番大事かなと思っています。なので、PVとか文章とか、わりと時間をかけて作っていましたね。
池和田
やっぱり基本的なことがすごく重要って話ですよね。伊勢海老はさておき。
一條
僕の場合、基本的なこととしては、PVの作成とメディア対応です。メディア対応で一番ベーシックなものはニュースリリースの配信です。たとえばこういう新機軸のタイトルをつくります、展示会に出ます、リリースしますっていう重要なタイミングでニュースリリースを書いて、国内外のニュースサイトに全部送ります。その後興味を持ってくれたメディアさんに連絡をして、「じゃあインタビュー組みましょう」とか「こういう特集組みませんか」みたいな相談をさせてもらいます。はっきり言えば、僕はプロモーションもゲーム開発の一部だと思っています。ゲームは出すだけじゃなくて誰かに遊んでもらわないと完成しなくて、そのために「僕が遊んでほしいと思う人に届けるように頑張る」みたいな。これはノウハウもあるので、他のインディークリエイターのプロモーション支援も始めています。
池和田
一條さん、いろいろやってるなあ。
一條
メディアさん紹介したりとか、記事を書いてくれそうな人に直接見せに言ったりとか。ここから先のコンサルは有料なので話さないですけど(笑)。個人クリエイターの皆さんは、プロモーションをもっとやればいいのにとは思っています。「ゲームそのものを完成させることがゲーム作り」という意見もあるので、あんまり無責任に踏み込めないということもあるのですが、もったいないと。
池和田
記念受験みたいに出すことが目的になってしまうこともあるからね。
一條
日本は年2回のコミケが個人制作ゲームのお披露目の場として機能していますが、それに関わることでゲームクリエイターとしての喜びがサイクルとして回っていると考えています。もちろんそれは良いことなのですが。
大貫
僕もパブリッシャーさんと会ったのはほとんどコミケです。あと最近はデジゲー博。
一條
いろんなイベントのなかでデジゲー博が一番好きです。クリエイターが主役なんだ、という強固なコンセプトを感じます。
大貫
そうですね。
一條
展示会に出展することはテストプレイの意味もあるので少し開発の一環にも入るんですけども。基本的にはプロモーション目的ですね。出展するなら、メディアさんに来てもらえるよう声をかけておいて、なるべく記事にしてもらう。全てのゲームクリエイターさんにプレスリリースを作れとは言わないんですけども…メディアの方に「何か画像素材がほしい」って言われたときに、「このGoogleドライブのこのフォルダです」っていうふうに、バッと渡せるようにしておく。
大貫
そうですね。僕はプレスリリースはWiiUのときにしか出してないんです。その他は多分PLAYISMさんがうまくやってくれてたと思うので。パブリッシャーさんを通すと売上の何割かとられますけど、役割は結構デカいと思います。あと日本でインディーゲームに興味のある人ってだいたいPLAYISMを知っているんで、そこも大きいかな。Steamの売り上げは実際セールがほとんどなんです。
一條
パブリッシャーにお世話になると、セールのメリットが大きいですよね。他のタイトルと一緒に大々的に広告してもらえる。広義には、パブリッシャーさんと良好な関係を築くのもプロモーション活動なのかなとも思いますね。それと、すこし乱暴な持論なのですが、「ゲーム機でのリリース」ってプロモーションだと思うんですよ。
大貫
そうですね。WiiUで出したことでSteamの売り上げも上がったので。どれか一つじゃなくて相乗的に上がってくる。
一條
そう、相乗的に上がる。だから「ゲーム機に進出する理由はなんですか?」と聞かれたときに「ロマン」もあるんですけども、プラットフォームに乗ることで知名度とクオリティの期待度を持ってもらえる感じがします。プロモーションで明確に失敗したのはないのですが、プロモーションを頑張ったことで作品の開発にかける時間が減ってしまったのは反省かなと。僕の性格上、プロモーション活動をしているのも結構楽しいんですよ。
池和田
楽しいってのは、個人デベロッパーとしてはアドバンテージなんじゃないかな?
一條
珍しいタイプだと思います。でも、それにかまけて開発が少しおろそかになってしまったのは失敗だったなと。
池和田
この話題、みんな考えているとこだと思うんですけど。
大貫
僕は視野には最初から入れていて。やっぱり「この先生き残るには」的には意識せざるをえないなと思ってて。この前のニュースだと、Steamで日本人のマーケットの割合は1%しかないみたいな話だったじゃないですか。
一條
いや、1%もいるぞ!って考えませんか?Steamって1億6000万のアクティブユーザーがいるらしいですから。….あ、すいません続きをどうぞ(笑)。
大貫
現状、7割が日本の売り上げなんですよ。なので、理屈の上ではもっと伸ばせるはずだし今後もっと頑張りたいってところではあるんですよ。そのために何をしようかというところではあるんですけど。結局日本と違って(英語は)僕の母国語ではないのでテキスト芸は通用しないんで、やっぱクオリティを要求されるものまで上げていくしかないかなという。今、PVとかグラフィックを一新しようとしているのと、あとマルチプレイですね。今世の中に出ているシューターのゲームってたいてい複数人で遊べるんで、そのへんの要求に応えていくことを今やっています。
池和田
大切なのはまっとうな方法ですよね、ホントに。
一條
僕の場合は、僕は海外展開を最初から念頭に置いていました。もちろん日本のファンにも届けたいとは思いましたが、中心は海外ですね。パブリッシングをデジカと契約して任せたのも具体的な海外戦略です。彼らはアメリカにマーケターのチームを持っているので、現地のイベントなどで広まってほしいなと。ただ、これはまだ足りないと思っていて、海外のインディゲームに強いマーケターと直接契約しようと考えています。
池和田
どこの国ですか?
一條
北米・欧州です。どんなマーケティング施策を打つと作品を知ってもらえるか、というはその土地の人じゃないとわかりにくいと思います。そこらへんは、申し訳ないですけど日本のパブリッシャーさんだとそんなに期待できないと思っていて。Steamのリリース自体は国内からできるので、マーケティング部分をローカルのやり方がわかる人としっかりやっていきたいと考えています。
池和田
うまくいったら、いい事例として発表できますよね。ただ正直、うまくいかない例も聞きます。
一條
こうしたマーケティング関係をお願いするというのは効果が測りにくいというか、同じ努力をしても同じ効果が出るとは限らないですからね。最悪の話、お金だけ貰ってなにもしない、とかもあり得る。
池和田
なんかトラブったとき、千代田区とかにあったら「何してくれてんじゃ」って言いに行けるけど、そういうことができないですからね、海外って。
一條
何かあったときにバックれられるリスクはあるにはあるんですけど、何か新しい対策をとらないと展開が見えなさそうで、悩ましいところです。そして今後は中国展開ですね。でも『Back in 1995』はやらないです。そもそも初代PlayStation自体発売されてないし、こちらが提供したい体験が伝わらない。
池和田
懐かしく感じてくれない。
一條
そうそう。今は実験的にスマートフォン向けのカジュアルゲームを準備中だったりするんですが、これを中国市場に投入します。中国はGoogle Playは接続できないし、現地のストアでリリースするにも、政府の検閲の都合上パブリッシングに現地企業との契約がほぼ必須で、個人クリエイターは参入がかなり難しかったんですよ。それをUnityはXiaomi端末のMIUI Storeを通じてやってくれるそうじゃないですか。これには超期待しています。
大貫
Switchもリージョンフリーですよね。
一條
そのニュースは素晴らしいですね、ホントに。
池和田
リージョンフリーのニュースが大きく扱われるのはどうなのってのはあるけどね。
一條
ただし、ダウンロード販売のゲームがどうなるかわからないのが少し不安ですが…。
池和田
僕もチームメイトがモンハンやりたいって言うから3DSを本体ごと4台持っていきましたからね、シアトルに。で、この話とからむ話なんですけど、ローカライズも結構みなさん苦労してるところですよね。
大貫
翻訳は完全にPLAYISMさんまかせでございます。
一條
同じく、完全にデジカさんまかせでございます(笑)。でも、始めて情報を出したときは、公式サイトを見てくれた海外の方が「英語の文法間違ってるから俺が訂正してやったぜ」みたいなありがたいお節介もあったりして、助けられましたね。
大貫
僕はそこまで大きなものじゃないかなっていう感じがします。個別に頑張っている人たちをまとめてインディって呼んでいるような感じですね。
一條
そうですね。まだモヤっとしてるし、「シーン」っていうほどまとまってない感じです。ただ、実際に国内からSteam Greenlightでリリースするタイトルや、PS4にリリースする個人のゲームクリエイターが増えたことは確かで。今後も同じように増えていくかどうかというのは微妙なところですね。
大貫
もともとコミケとかで作っていた人のタイトルは一通りSteamに出ちゃった感はあって、その流れで言うと同人ゲームは少し盛り下がっているのかも。ショップとかの面積も縮小されているし。
一條
スマートフォンアプリを出したりとか、「ゲームを作る」ことがコミケ以外でもできるようになったこともあるかと。
大貫
今まであった色々な流れが、インディみたいな感じでおおざっぱに括られつつはあるかなっていう気はしてます。
池和田
ではそういったインディシーンに帰属意識はありますか?
大貫
僕は学生時代にゲーム作ってコミケに出したけど、もともとコミケの文脈の人ではないんですよ。「作ったからコミケ出してみるか」みたいな感じで。で、しばらくやって「最近インディ流行っているし、インディでいいか」みたいな感じなので、もともと何かに帰属しているというのはないかもです。
一條
最近はちょっと悩んでいるというか、モヤモヤしてるところですね。僕自身には、何か団体に帰属していたい人なんですよ。「みんなでシナジーを出してこうぜ」とか群れるのは好きなんです。ただなんというか、日本のインディーゲーム関連については、自分たちのチームでゲームを作ってリリースしているわけじゃない人がたまに目立つというか….。関連が薄い人が「盛り上げよう」とか言っていることがあって、滑稽だなと。
池和田
うーん。
一條
これゲームに限らずな現象で、日本のエンターテイメントコンテンツって、何故か当事者以外が団体作ろうとするんですよ。
池和田
でも逆に言うと当事者に「やろう」っていう気概がある人が生まれにくい風土ってことも。
一條
ああ、それもありますね。
大貫
そんな余裕のあるところはない!みたいな。
一條
盛り上げようとしてくれるのはいいんですけども、やることがどんどんずれていきそうで、なんだかなーみたいな。
大貫
結局日本のインディって、別にスタジオがどんどんできるとかじゃなく、個人がちょいちょいいるなみたいな感じなので、まだ流れをつくるのは難しい段階かなって思います。
一條
余裕がないのはわかります。たとえばカナダや中国みたいに、国がゲームという文化にお金を出してくれない以上は育ちにくいかな、ちょっと暴論ですが。盛り上げるために、費用持ち出しでやろうぜというのは難しい。僕が仕事としてやっているニフティクラウドmobile backendとPlay,Doujin!も、どちらも日本のインディシーンを盛り上げたいという思いが根っこにあったりします。けれど、そうした活動を無償でやってくれって言われたらできない。
インディーシーンの流れがあることで、たとえば展示会ができますとか、メディアさんが注目してくれる機会をつくってくれる、それはありがたい。けれど、そこから先にクリエイターがゲーム作って生活していくライフサイクルは考えていますか?って….それは求めすぎか。うまく言えないんですけど、目的がちょっと食い違っている感じ。
大貫
タイトルを出すという分には、展示会もいいんだろうと思うんですけどね。
一條
なので、今年はインディーシーンというよりは新星を期待というか。新興のクリエイターさんがタイトルをバンと出して、PS4やNintendo Switchでリリースされて「うおっ」って言わされるものが来てほしいと思います。
池和田
新しい流れに期待みたいな。
一條
そうそう。できれば日本国内から生まれてほしい。
大貫
プラットフォームというか、SteamもSwitchもですけどオープン化していって、結果的に日本でも出せる人が出てきたっていう感じで。その流れはインディの海外の流行もあるでしょうし、開発者個々人の力で、というよりは世界的な流れという感じではありますね。
池和田
それは次の話題とすぐつながる話ですね。
大貫
海外は開発者の選択肢としてわりと一般的なものになりつつあるのかなと思います。例えばニュースで見た情報でしかないですけど、Naughty Dogとかってワークライフバランスが崩れるほど忙しいからインディでそのへんを大切にするとか。そういう選択肢が普通に出てくるというところが成熟しているかなって思いますね。日本だと最初から一般的な開発者の選択肢には上がらないじゃないですか。
一條
そのとおりですね。本当に同一意見です。Unite 2016の講演でも話したことなんですけども、ゲームを作って生きてく選択肢のうち、「ゲーム会社に就職して生きてく」と「自分でチームやサークルやスタジオを立ててゲームを作って生計立てる」の2つのうち、後者の選択肢が存在感が薄いなと。僕はそれが選択肢として当たり前になってほしいんですよね。
大貫
日本だと「ちょっと労働環境ヤバいから行くわ」って先がソーシャルゲーム業界な気がするんですよね。なので、そこのポジションが向こうだと違うのかな?という感じです。
一條
ゲームクリエイターのキャリアプランとして、自分自身のゲームを作ってそれで生きていく、生活をしていくっていうのを確立させたい。海外では、傍目からはやれている人がいそうに見えるけど、日本ではほとんど事例を聞かない。なので、大貫さんには期待しています。
大貫
『Ace of Seafood』は一人で作れるからフリーでやろうと思ったんですけど、結局人を抱えてとなるとそれだけ売れないといけないので、なかなか‥。でもそういう選択肢になるにはスタジオがないと安心感がないじゃないですか。そこまで日本の土壌でできるかというところはわからないかなと思います。
一條
それが難しいとしたら、日本ならではの諸問題を解決するものを発明しないといけなくて。個人クリエイターが寄合的に集まったスタジオを作りたいなと考えたことがあります。事務と広報を一本化する団体。
池和田
NIGOROさんとかわりと近いのかな。
NIGORO
NIGOROは、株式会社アスタリズムのコンピュータゲームの制作事業部名である。GR3 PROJECTというゲーム制作集団のメンバーがそのまま移行する形で結成された。名称は、「256」の読みに由来。最初期からのメンバーは、「ならむら」、「duplex」、「サミエル」の3人。
一條
海外のスタジオでは、たとえば自分たちのゲーム作りが軸にあって、スタッフ食わせるためにソーシャルタイトルの素材の仕事も受託して、みたいなこともやっているのかなと思っています。
池和田
新卒の優秀な人が普通にインディのスタジオを志望してたり、僕もちょっとびっくりしましたからね。
一條
日本でもこの選択肢について、認知度を高めて行かねばって感じですね。
大貫
とりあえず3年では、会社を辞めた当初の目的を果たす。『ACE OF SEAFOOD』を構想している完ぺきな状態にもっていくのと、あともう一個ぐらい作りたいものがあるんですけど、それをとりあえずやっておきたいなというのがありますね。
会社員しながらでも個人のゲームは作れたんですけど、やっぱり時間かかっちゃうので、それを作り終わるのに35歳とか過ぎちゃうんじゃないかっていう恐れがありました。なので辞めたのなら今のうちにやっておきたいことをやっておく。それで作ったものが世の中に受け入れられるかどうかをみて、なるべく作りたいものがあるうちは続けたいですけど、僕は別に一人が好きとかそういうわけじゃなくて手段として選んだだけなので、再就職とかも選択肢としてはあります。
が、日本のコンシューマーゲーム業界の10年後を考えるとどうなっているか分からない。現在進行形で縮小していっていますし、10年後になるとスマートフォンも今の据え置きぐらいの性能にはなってくるでしょうし、どういったゲームがメインストリームになっていくのかっていうのは考えていかなきゃいけないところです。
日本のユーザーってスマートフォンの性能が上がっても、3Dゲームはあんまり好かなさそうだっていうところもあるので、個人でやるにしても就職するにしても自分好みのゲームを作っていくには海外も視野に入れないとな、っていうのはあります。
池和田
3Dゲームを作りたいというのが一番にあって、ワークスタイルとしてはいろいろな可能性があるという感じなんですね。海外も含めて。
大貫
あくまで作品が目的であって、自分自身のワークスタイル自体は手段かなと。
池和田
明確なんですね、そのあたり。一條さんは?
一條
僕は自分の作りたいゲームを作りつつ、世の中の動きを見ながら関連の仕事を続けていくつもりです。3年後はゲーム作りとクリエイターの可能性を広げるための何かを自分の事業にしたいと思っています。
池和田
僕の一條さんに対する見方は「ゲーム作りのための別の肩書きがある人」ということなんです。
一條
そうです。クリエイターが快適にゲームを作れるための環境づくりですね。このスタイルをとっている理由としては、自分の一生で作れるゲームの数ってたかが知れてるんですよ。なので、僕はもっと他のクリエイターの作品を見て、遊んで、笑いたいしと思っているんです。ですが、その前にまず自分でゲームを作って販売しないと話にならんな、と思っているのでゲーム作りも継続する、そういう側面もありますね。
10年後はゲームを作って生きていく選択肢の中に、「インディーゲームクリエイターとして生きる」がきちんと存在している世の中をつくりたい、そのための手段は問わないっていう感じですかね。
池和田
二人ともやっぱり、基本となる姿勢は変わらないっていう所ですかね。
一條
でも10年後はなあ‥。ゲームっていう文化そのものがどうなっているかですよね。
池和田
ARの市場規模はすごく大きくなる気がしますよね。
一條
多分10年後には『電脳コイル』の世界になっているはずなので、それで何をやっていくかは考えないとだめそうですね。10年後、最悪何らかの理由で日本でゲームが作れなくなる可能性もあるので、それに備えて何をするのかとか。だからゲーム作り生活を続けていくためにはなんでもやるみたいな感じですかね。
池和田
「好きなゲームを作りを続けるために、僕らは何をすべきか」というのが、今回の座談会のタイトルになりそうですね。
一條
そういうことです。「継続性」です。本当に。これは今のUnityのコンセプトとも近い話だと思っています。ゲーム作りの民主化はだいたい達成したと。そして今は「ゲームの成功を助ける」というミッションがあるわけじゃないですか。ゲームを作り続けるために、クリエイターとしてどうしていクべきかを自分自身で実験して、かつ周りに伝搬させていくために、どうすべきか考え続けていきたいですね。
池和田 有輔
フリーランスとしてWEB制作・広告制作のキャリアを経て、2013年からRépublique開発チーム(Camouflaj, LLC.)に参加。ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社に入社後はエバンジェリストとしてUnityの伝道活動に携わってます。
PlayStationやSega Saturnのあの頃のゲームの雰囲気を…本作は、インディーゲームとして開発されたSteam…