もしもクルマが空を飛んだなら? デンソー「VR-CAR」でリアルなGを体験しよう!

もしもクルマが空を飛んだなら?
デンソー「VR-CAR」でリアルなGを体験しよう!

Unityを使った様々な開発事例を紹介する「Unity探検隊」。
今回ご紹介するのは株式会社デンソーが開発を進めるVRプラットフォーム「VR-CAR」です。

VRコンテンツは没入感を高めるために様々なデバイスを併用した事例が数多くありますが、「VR-CAR」で使われているのは自動車そのものです。体験者が超小型モビリティCOMSに乗り込み、ヘッドマウントディスプレイを装着すると、「VR-CAR」のシステムはそのコンテンツの展開に合わせて車体が前後に動くなどのインタラクションを発生させるのです。車体の動き自体はわずかな距離なのですが、実際に体験してみると見た目以上に加速度を感じることがよくわかります。

今回、9/16〜18までの3日間でお披露目となったのは、空飛ぶクルマをモチーフとしたコンテンツ。
「もしもクルマが空を飛んだなら?」というテーマのもと、ドローンによる空撮の実写映像を使った空の旅が楽しめるものなのですが、この内容からわかる通り、体験内容はドライブシミュレータに留まるものではありません。地方の伝統的な行事を体験できるようなものから、いわゆる音ゲーのようなゲーム性があるコンテンツまで、自動車を使ったVRの可能性を広く探る試みを行っています。

ちなみに、COMSは市販されている超小型EVとしては歴史も長く、洗練されたデザインと豊富なカラーバリエーションが特徴ですが、今回の体験デモに使われたのは、なんと弊社のキャラクターであるユニティちゃんを用いたワンアンドオンリーな車体です。

このプロジェクトについて、開発を手がける株式会社デンソーの石井幹人さんにお話を伺いました。

COMS VRはどのような経緯で生まれたのでしょうか?

石井

元々のアイディアは豊田中央研究所と電気通信大学の梶本裕之先生の共同研究の中で生まれました。その技術をデンソーが受取り、製品化しています。

どのような理由でUnityを採用されたのでしょうか?

石井

VR学会などの学術系コミュニティで精力的に普及活動をされているユニティ・テクノロジーズ・ジャパン簗瀬さんの影響が大きいです。VR学会では多くの研究者がUnityをつかっているし、簗瀬さんもコミュニティに顔を出してくれるので、質問しやすいです。自然にUnityを使うようになりました。

また国内のVR開発者の多くがUnityを使っているのもメリットです。本業ではない我々では、Unityの習熟に十分な時間を割けません。開発で困ったことがあった時は、国内の開発者の皆さんがブログに書き残してくれている足跡が大いに力になっています。

UnityでVRコンテンツを作る上での困難はありましたか?

石井

Unityで、というより、そもそも「コンテンツを作る」という業界ではないので、文化の違いに四苦八苦しています。例えば、コンテンツ業界では当たり前の概念が理解できず、勉強に時間がかかってしまうことがありました。

Unityはノンコーディングでかなり動くので本当にありがたいですが、コードの改良が必要なときは、プログラミングが専門ではないので本当に大変でした。コンテンツ制作に関しては、しっかりチュートリアルが整備されていたので、かなり勉強になりました。

前後の制御以外に想定されている、自動車ならではのインタラクションはありますか?

石井

自動車には元々、様々なHMI(ハンドル・レバー・ペダル)が搭載されており、これらをVRコンテンツのコントローラとして使用することが可能です。フロントガラスをVR空間内でタッチスクリーンとして使うことも試しました。いずれも、リアルな触感が得られ、気持ちが良いです。電動リクライニングシートやエアコンなどで五感を刺激することも効果的だと考えており、今後、採用を検討していきます。

石井さんの所属されている「価値創造プロジェクト」では他にどのような取り組みを行っているのでしょう?

石井

「価値創造プロジェクト」は社内では「価値創造塾」と呼ばれており、0から1を自らの力で生み出せる人材を育成しています。VR-CARのような従来のデンソー製品にはない分野のプロジェクトが各リーダーを中心にいくつか立ち上がっていますが、今はまだ公表できません。今後をご期待いただければと思います。

今回の展示で、体験者の方々からはどのような感想をいただきましたか?

石井

16日のトヨタ博物館、17日18日の刈谷ハイウェイオアシスのイベントで初めて一般の方に体験いただきました。アンケート結果はおおむね良好で、車両駆動による振動システムの有効性や、VR-CARの提供する体験が観光PRに効果があることが確認できました。「とても楽しかった」「可能性を感じる」などの意見が寄せられております。

CEATECで体験! 空飛ぶクルマで世界旅行!

「VR-CAR」が10月3日から開催されるCEATECのデンソーブースでもご体験いただけます。こちらは世界旅行を体験できるコンテンツとなっているそうなので、興味を持たれた方はぜひご来場の上、リアルなGを体験してください!

デンソー ニュースリリース

池和田 有輔 - 2017年9月29日