みなさんは韓国のインディーゲームシーン、ご存知ですか?
かつてはPCMMO大国とも言われた韓国のゲーム産業ですが、実は近年インディーゲーム開発者のコミュニティーが急速に拡大しているんです。その大きなきっかけとなったのが、インディーゲームの展示イベント「Busan Indie Connect Festival(BIC)」です。以前からこのイベントのうわさは聞いていました、実際にこの目で見たい!と思い立ち、さる2018年9月13日、見学をしてきました。本稿では、BICでみつけた素敵なMade With Unityタイトルを紹介します。
「Alleys」は台湾のディベロッパーTHEMEr Design LLC.のパズルアドベンチャーです。「英国風の街並み」とパンフレットにはありましたが、そのようでどこかオリエンタルな雰囲気の世界観が魅力です。脱出ゲームの要素を含みますが、一般的な脱出ゲームと異なり、扉の「鍵」はポイント制になっています。「Check-In Box」とよばれる交換ボックスでポイントを使うのですが、ポイントを使って次のレベルに進むか、ほかのリワードに費やすかはプレイヤーの選択にゆだねられます。
作者はデザイナーが本職なんだそうですが、Unityを学びながら本作を一人で開発したのだそうです。本作はすでにiOS向けに配信されていますが、もうすぐ「ハロウィンアップデート」として追加シナリオを配信する予定だそうです。
猫耳(風パーツ)をつけたツインテールのロボット少女を操作して、敵ロボットを蹴散らそう!
「Metallic Child」は爽快なアクションゲームとローグライクなステージ生成システムが組み合わさったゲームです。
本作はグラフィクスクオリティの高さもさることながら、かわいらしいキャラクターの造形とかっちりしたアクション、洗練されたUIなど非常に注目度の高いタイトルでした。こちらもなんと、おひとりで開発されているそうです!
主役のロボ娘ちゃんは、ステージの中でドロップする武装を換装することができます。基本的に近接武器なのですが、今回はナックル装備とハンマー装備、ナックルの上位版である火炎放射器付きナックルを試すことができました。
敵に接近していいれば一撃技が出せるのですが、少し進むと敵がスタンプのように天井から降ってくるので、攻撃をうまくよけながら近接を当てるプレイスタイルになっていきます。
大きなキャラクターパネルからも、キャラクターへのこだわりを感じました!
「Metallic Child」は来年の配信を目指して開発中とのことでした。
「Time Survivor」はクラフト要素のあるアドベンチャーゲームです。相棒の浮遊型ロボットといっしょに、荒廃した世界を冒険します。
「タイムトラベル」がテーマのストーリーなのだそうですが、試遊ではまず地面に落ちている医師や気を拾って道具をクラフトする場面から始まりました。そのうち、野犬に襲われて大変なことに…!やわらかいグラフィクステイストとは裏腹に、結構難しめのゲームになるかもしれません。
中心となって活動しているクリエイターさんはデザイナーさんだそうで、オリジナルキャラクターのロボットを等身大のペーパークラフト化して飾っていました。ローポリゴンゲームを作っている方は、一点物のペーパークラフトは展示にとてもよさそうです。
現バージョンでは、背景などのポリゴンデータにAsset Store素材を活用しつつ、キャラクターはオリジナルで制作しているそうです。2019年にiOS、Android向けに配信を予定しているそうですが、まだまだこれから発展しそうな予感です。
Team Tapasが開発中の「용사식당」は、直訳すると「勇者食堂」といった感じでしょうか。タイトル通り、食をテーマにした2Dの横視点RPGです。おそらく日本の同モチーフ漫画にインスパイアされたと思われます。
キュートな2頭身キャラクターが特徴的ですが、「オートバトルの横スクロールダンジョン」と「拠点の発展」の要素を組み合わせています。ストーリーは、「旅をしていた二人の女騎士ペアが飢えて倒れてしまうが、草原にある食堂で命を取り留める。そこから、店を中心とした一帯の発展を目指してダンジョンを攻略していく…」というものです。
メインビジュアルにもあるように、「お祭りの食べ物屋台」と「ファンタジーPRG」を組み合わせた世界観がとてもかわいらしいです。ビジネスモデルは拠点に設置できるアイテムと、衣装の販売になるそうです。
いわゆるキャラクタースキン販売になるのですが、見せてもらったデモ版では全キャラクターに「けも化」オプションが選択可能であるところに、開発者のこだわりを感じました。
実は、Team Tapasの前作は「漂流少女(A Girl Adrift )」といいまして、こちらのタイトルは日本語にローカライズされて人気を博していました。本タイトルも日本版の配信が期待できそうです。
「Shikhondo2」は韓国のクリエイターが開発中の横スクロールのメトロイドヴァニアです。中国絵画を思わせるタッチで描かれた2Dビジュアルのなかで、探索と巨大ボスとのバトルを楽しむことができます。
メトロイドヴァニアはインディーゲームの中でもかなり人気のジャンルです。たくさんのクリエイターがゲームシステムやグラフィクス面で差別化はかる中、彼らは中国らしさをもった妖怪や亡霊の世界観とグラフィクスで勝負…というわけです。
前作に当たる「食魂徒」は、PCのほか、PS4でも配信されています。
こちらはなんと弾幕シューターです!二作目から世界観を共通したままジャンルを変えてきた、ということです。
PS4版は日本のストアでも配信されているそうなので、気になった方はぜひ遊んでみてくださいね。
Busan Indie Connectはブースのサイズが比較的大きめに取られており、私が訪問したのがビジネスデーであったこともあって、ゆっくりと作品を遊び、クリエイターと会話することができました。開場時間に指定された10時に訪問したところ、大半のブースは無人だったことも「ゆるい」空気の一端かもしれません。
今回紹介したタイトル以外にも多彩なゲームが見られました。欧米風のパステルカラーを纏ったオシャレなゲームアプリ(いわゆる「モニュメント・バレー風味」な)や、ハードコアなFPSやアクションゲームなどもありました。しかしながら、アジアならではの強みを生かしたゲームはその中でもひと際目を引いていました。
韓国から世界に向けてはばたくインディーゲームは、これからどんどん増えていきそうです。